判旨
組合において、出資の目的に対し特に対価的給付がなされても出資の性質は失われない。また、損益分配や残余財産処分の約定は民法の任意規定に優先するため、出資の対価が利潤から支払われる必要もない。
問題の所在(論点)
組合への出資に対し組合から対価的給付がなされる場合に、なお「出資」としての性質を維持するか。また、損益分配や残余財産の処分について、出資の価額に基づかない当事者間の特約は有効か。
規範
組合契約(民法667条)における出資は、組合から出資者に対し対価的給付がなされる場合であってもその性質を失わない。また、損益分配の割合(民法674条1項)や残余財産の処分方法(民法688条2項)に関する当事者間の約定は、出資の価額に応じる旨の任意規定に優先する。したがって、出資の対価を形式的に事業の利潤からのみ支払うべきとする制限はない。
重要事実
上告人とDらは組合契約を締結し、Dは本件土地の使用権を出資の目的とした。この際、Dに対して組合から対価的給付がなされていたほか、特定の損益分配や清算方法に関する合意が存在した。上告人は、対価的給付がある以上は出資にあたらないこと、および出資の対価は利潤から支払われるべきであることを理由に、組合関係の成立や清算内容を争った。
あてはめ
Dによる土地使用権の提供は、組合から対価的給付を受けていたとしても、共同事業を営むための出資としての性質を妨げられない。損益分配については民法674条1項の、残余財産処分については民法688条2項の任意規定がそれぞれ存在するが、これらは当事者間の約定がない場合に適用されるものである。本件において特定の有利な処遇や清算方法の約定がある以上、その合意が優先されるため、形式的な利潤配分に固執する必要はない。
結論
Dによる土地使用権の出資および当事者間の約定に基づく清算は有効である。上告人の主張は採用できず、上告を棄却する。
事件番号: 昭和32(オ)890 / 裁判年月日: 昭和35年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地の明渡請求が権利の乱用に該当するか否かは、具体的な事実関係に基づき、請求によって得られる利益と相手方の被る不利益等を比較衡量して判断されるべきであり、本件においては権利の乱用にはあたらない。 第1 事案の概要:上告人(被告)らが占有する本件土地につき、被上告人(原告)が土地明渡を求めた事案であ…
実務上の射程
組合契約における私的自治の原則を強調する判例。出資に対する対価の支払いや、出資比率に基づかない損益分配・清算の合意が有効であることを明示しており、実務上、複雑な利益調整を伴う組合契約の有効性を基礎付ける際に活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)581 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合のために土地を買い受けた場合、登記の名義にかかわらず当該土地は組合財産となり、組合員の合有(共有)に属する。また、組合の清算過程で他の全組合員が持分を放棄し、特定の組合員がその所有を承諾されたときは、当該土地はその組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、訴外D、同Eの3…
事件番号: 昭和32(オ)177 / 裁判年月日: 昭和35年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】代物弁済契約が有効と認められるためには、対象物件の価格が当時の貨幣価値を斟酌した債権額とおよそ相応し、両者の間に著しい差異がないことが必要である。また、不法占有者に対する建物収去土地明渡請求は、特段の事情がない限り権利の濫用には当たらない。 第1 事案の概要:債務者Dは、被上告学園に対し計15万円…
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
事件番号: 昭和32(オ)911 / 裁判年月日: 昭和35年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸人たる地位の承継に関する合意がない場合において、新所有者が賃借人に対して行う土地明渡請求が信義則に反し権利の濫用にあたるとはいえない。 第1 事案の概要:土地の所有者D(訴外)が、本件土地を被上告人(新所有者)に売り渡した。上告人(賃借人)は、Dが賃貸借上の権利義務を被上告人に承継させる意思を…