判旨
建物を共有して土地を不法占有する者は、共同不法占有者の一人として、他の共有者の有無にかかわらず土地全体を明け渡す義務を負う。この場合、判決の既判力が他の共有者に及ばないことは、当該共有者に対する明渡し請求の可否に影響しない。
問題の所在(論点)
共有建物の所有による土地の不法占有において、土地所有者は共有者の一人のみを被告として土地全体の明渡しを請求できるか。また、他の共有者に既判力が及ばないことが請求認容の妨げとなるか。
規範
建物の共有により土地を不法占有する場合、各共有者は不可分的な不法占有者として、各自が土地全体の明渡義務を負う。また、一部の共有者に対する明渡請求を認容するにあたり、その判決の既判力が他の共有者に及ぶ必要はない。
重要事実
上告人は、訴外Dほか1名と本件建物を共有し、当該建物の所有を通じて本件土地を不法に占有していた。土地所有者が上告人に対し、建物収去および土地明渡しを求めて提訴したところ、上告人は、建物が共有である以上、他の共有者に既判力が及ばない判決を下すことは違法であると主張して争った。
あてはめ
上告人は、訴外者らと建物を共有することで、不可分的に本件土地を不法占有している。このような共同不法占有の状態にある場合、上告人は単独でも土地全体を明け渡すべき義務を負う。既判力は相対的なものであり、他の共有者に判決の効力が及ばないとしても、上告人自身の明渡義務を確定させる上では何ら支障はないといえる。
結論
上告人は共同不法占有者の一人として土地明渡義務を負うため、他の共有者を被告に含めていなくとも、上告人に対する明渡請求は正当として認容される。
実務上の射程
事件番号: 昭和34(オ)1273 / 裁判年月日: 昭和38年4月19日 / 結論: 棄却
一 民法附則第二五条第二項により新法によつて相続人となる者は、同法施行当時生存している必要はないものと解すべきである。 二 右同条同項による相続人が応急措置法施行前に死亡した場合には、その相続については旧法を適用すべきである。
土地明渡請求における「被告適格」および「固有必要的共同訴訟の成否」に関する重要判例である。建物収去については共有者全員を被告とする必要がある(固有必要的共同訴訟)とするのが実務通説であるが、土地明渡しについては、各占有者が不可分な義務を負うため、共有者の一人に対する請求が可能であることを示している。
事件番号: 昭和39(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月23日 / 結論: 棄却
本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
事件番号: 昭和38(オ)371 / 裁判年月日: 昭和40年1月22日 / 結論: 棄却
地代家賃統制令による停止統制額のある土地を不法占有する者に対する損害賠償額は、該土地を新たに更地として賃貸することが予見される等の事情のもとでは、右停止統制額によらないで判定されてかまない。
事件番号: 昭和33(オ)568 / 裁判年月日: 昭和34年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法188条による権利の適法推定は、占有者が所有者に対して占有権原を主張する場合には適用されず、所有者に対抗できる正当な権原があることを別途立証する必要がある。 第1 事案の概要:上告人(占有者)は、本件土地を占有していたところ、被上告人(所有者)から土地の返還を求められた。上告人は、自身に借地権…
事件番号: 昭和33(オ)683 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
他人の不動産を占有する正権原があるとの主張については、その主張をする者に立証責任があると解すべきである。