甲乙間の訴において、甲が本件物件について一〇分の三の共有持分権を有することを確認する旨の判決が確定しても、甲乙両者のみの共有関係が確定されたとはかぎらないから、乙の共有持分が一〇分の七と確定されたということはできない。
共有持分権存在確認の判定の確定と共有関係の確定。
民訴法199条,民訴法225条
判旨
不動産登記には所有権の存在を推認させる権利推定力が認められるが、当事者間に便宜上特定個人の名義で登記する旨の合意があるなどの特段の事情がある場合には、その推定力は破られる。
問題の所在(論点)
不動産登記名義が特定の者に存する場合、その者の単独所有が推定されるか。特に、実質的な共有関係と便宜上の名義貸し合意が存在する場合の登記の推定力の成否が問題となる。
規範
不動産の権利登記がなされている場合、登記名義人がその権利を有するものと事実上推定される(権利推定力)。しかし、実質的な所有関係が登記名義と異なることを示す証拠がある場合、または登記名義を便宜上設定したに過ぎないという合意が認められる場合には、登記による単独所有の推定は及ばない。
重要事実
本件土地の登記簿上の所有名義は上告人であったが、実際には上告人、被上告人、および訴外Dの3名が共同で買い入れたものであった。購入時、当事者間での相談の結果、便宜上、買受人の一人である上告人の名義で登記を行うことに合意していた。被上告人は、土地買入代金の支弁割合(10分の3)に基づき、自身の共有持分権の確認を求めて提訴した。
事件番号: 昭和39(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月23日 / 結論: 棄却
本訴請求は、建物所有者に収去義務の現存する建物の占有者に対し該建物からの退去を求める趣旨と解せられるから、右占有者が右建物の占有関係を離れてその敷地そのものの占有権原を主張しても、抗弁となりえない。
あてはめ
本件土地は登記上は上告人の単独所有名義となっているが、実質的には当事者双方の共同買入れによる共有財産である。また、上告人名義の登記は、上告人、被上告人、訴外Dの3名が相談の上、便宜上なされたものに過ぎない。このような事実関係の下では、登記が実態を反映していないことが明らかであり、登記の存在を理由に上告人の単独所有を推定することはできないと評価される。したがって、代金支弁割合等から算出される被上告人の10分の3の持分権は肯定されるべきである。
結論
便宜上の名義貸し合意がある場合には、登記に基づく単独所有の推定は及ばず、実質的な買入関係に基づき共有持分権が認められる。
実務上の射程
登記の権利推定力に関するリーディングケース。答案では、登記の推定力を認めた上で、その推定が破られる「特段の事情(本件では便宜上の名義合意)」を指摘する際に用いる。所有権確認請求や登記抹消請求における立証責任の転換に関連して論証するのが一般的である。
事件番号: 昭和33(オ)288 / 裁判年月日: 昭和35年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物を共有して土地を不法占有する者は、共同不法占有者の一人として、他の共有者の有無にかかわらず土地全体を明け渡す義務を負う。この場合、判決の既判力が他の共有者に及ばないことは、当該共有者に対する明渡し請求の可否に影響しない。 第1 事案の概要:上告人は、訴外Dほか1名と本件建物を共有し、当該建物の…
事件番号: 昭和38(オ)235 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
準備書面及び書証の表示文言に判示のような記載があっただけでは、当該要証事実の主張があったとは見られない。
事件番号: 昭和38(オ)603 / 裁判年月日: 昭和40年1月12日 / 結論: 棄却
目的物件の所有者は、その目的物件を現在の賃料額よりも高額で第三者に賃貸できるような場合には、その高額の賃料額相当の損害金を不法占有者に対し請求できる。
事件番号: 昭和34(オ)768 / 裁判年月日: 昭和37年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地賃貸借契約において建物の種類や構造を制限する特約がある場合、賃借人がこれに違反して建物を建築したときは、当該特約違反を理由とする賃貸借契約の解除が有効に認められる。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)との間で土地賃貸借契約を締結した際、建物の種類や構造を制限する旨の特約(…