準備書面及び書証の表示文言に判示のような記載があっただけでは、当該要証事実の主張があったとは見られない。
準備書面、書証の表示文言によっては、要証事実の主張があったと見られなかった事例。
民訴法186条,民訴法244条,民訴法258条
判旨
土地賃貸借が一時使用目的であるか否かは、契約の動機、目的、期間、賃料の額等の諸般の事情を総合考慮して判断される。本件では、土地区画整理施行までの短期間に限定された利用実態等の証拠に基づき、一時使用目的の借地権として認められた。
問題の所在(論点)
土地区画整理施行までの期間を限定した土地賃貸借について、借地法9条(現25条)の「一時使用目的」と認めることができるか。また、共同相続人が建物を共有している事実に争いがある場合の認定の妥当性が問われた。
規範
借地法(旧法)9条(現借地借家法25条)にいう「一時使用のために借地権を設定したことが明らかである場合」に該当するか否かは、賃貸借契約の目的、期間、地代等の契約内容に加え、借地権設定の動機、建物の種類・構造等の諸般の事情を総合して、客観的に借地権の存続期間を画することが合理的な事案か否かにより判断される。
重要事実
本件土地(約250坪)について、土地所有者Eと上告人A8との間で賃貸借が成立していたが、昭和25年12月頃に合意解除された。その後、Eは各建物を所有する上告人らに対し、それぞれの敷地占有部分を直接賃貸した。この際、当該土地の賃貸借は「土地区画整理施行までの間」という期間の制約があり、一時使用のための借地権設定であるか否かが争点となった。原審は、証拠に基づき本件賃貸借を一時使用目的と認定したところ、上告人らが採証法則違反等を主張して上告した。
事件番号: 昭和39(オ)58 / 裁判年月日: 昭和39年7月3日 / 結論: 棄却
土地の賃貸借契約が当初甲市内に散在していた露天商を一時整理収容するために市役所等のあっせんにより期間を一年と限って成立し、その後借地人らの申出によって期間を限って契約が再三更新され、かつ、最終の契約においては、期間を一年三箇月とし賃貸人の許可なく組立式以外の建物の築造を禁止し、夜警以外の居住を禁止するなど原判決の認定の…
あてはめ
原判決は、本件土地賃貸借が土地区画整理施行までの期間に限定されたものである点について、当事者の主張を摘示し、提出された証拠を総合して認定を行っている。上告人側は、特定の相続人による単独所有や通謀虚偽表示の存在を主張したが、提出された準備書面や書証(甲号証等)からは、それらの事実を裏付ける明確な立証がなされていないと判断された。特に、証人Eの証言を含む証拠評価において、一時使用を否定するに足りる事由は見出されず、客観的事状から一時使用の目的が認められるとした原審の判断は正当であると解される。
結論
本件土地賃貸借は一時使用のために設定されたものと認められ、借地法9条の適用により、通常の借地権としての存続期間や更新に関する規定は適用されない。上告棄却。
実務上の射程
一時使用目的の借地権の認定は、事実認定の専権事項に属する側面が強いが、本判決は、区画整理等の具体的事業完了までを期限とする契約が一時使用に該当し得ることを示している。答案上は、期間の限定だけでなく、契約に至る動機(区画整理の予定等)や建物の構造等の具体的要素を指摘して、借地権の期間保障が不合理であることを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和35(オ)1005 / 裁判年月日: 昭和36年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法9条(現借地借家法25条)の一時使用目的の借地権に関し、賃貸人が必要とする場合に建物を撤去して土地を明け渡す旨の特約は有効であり、その「必要」性は必ずしも客観的かつ妥当な必要性がある場合に限定されない。 第1 事案の概要:賃借人(上告人)と賃貸人(被上告組合)との間で土地の賃貸借契約が締結さ…
事件番号: 昭和30(オ)546 / 裁判年月日: 昭和32年7月30日 / 結論: 棄却
土地所有者において、先祖代々所有かつ使用して来た土地を、その地上家屋の罹災焼失の後、獣医師である三男の病院建設の計画が実現するまでの間、期間を五年、地上建物は取り壊しに容易なバラツク建と限定し、賃貸人において必要の際事前の明渡要求があれば賃借人もこれに応ずべき旨の約で賃貸し、賃借人は製材業を営むため約旨のとおりその地上…
事件番号: 昭和34(オ)879 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地および建物の賃貸借が、借地法(現借地借家法25条)および借家法(現借地借家法40条)にいう「一時使用」にあたるかは、賃貸借成立の経緯、使用目的、建物の規模構造、期間の定めおよびその理由等を総合考慮して判断すべきである。 第1 事案の概要:土地および土蔵の賃貸借契約において、賃貸期間が短期に定め…
事件番号: 昭和29(オ)346 / 裁判年月日: 昭和30年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法9条(現・借地借家法25条)の「一時使用」にあたるかは、賃貸借の目的、期間、地上建物の種類・構造、賃料の多寡等から客観的に判断される。本判決は、原審の認定した事実関係に基づき、本件土地の賃貸借が一時使用のためのものであると認めることが可能であると判示し、上告を棄却した。 第1 事案の概要:本…