判旨
土地および建物の賃貸借が、借地法(現借地借家法25条)および借家法(現借地借家法40条)にいう「一時使用」にあたるかは、賃貸借成立の経緯、使用目的、建物の規模構造、期間の定めおよびその理由等を総合考慮して判断すべきである。
問題の所在(論点)
借地法9条(現借地借家法25条)および借家法8条(現借地借家法40条)に規定される「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かの判断基準が問題となる。
規範
賃貸借契約が一時使用目的であるか否かは、契約の文言のみならず、①賃貸借成立の経緯、②使用目的および建物の規模に関する約定、③賃貸期間の長短およびその期間を定めた理由、④地上建物の規模構造等の諸事情を総合考慮し、客観的に借地借家法の保護を及ぼすべき実態があるかにより判断する。
重要事実
土地および土蔵の賃貸借契約において、賃貸期間が短期に定められていた。原審は、当該賃貸借の成立に至る具体的な経緯、使用目的、建物の規模に関する約定、期間を短期に定めた理由、および実際に地上に建築された建物の規模構造について詳細な事実認定を行った。上告人は一時使用目的であることを否定したが、原審はこれらの事実関係に基づき、借地法9条および借家法8条(いずれも当時)の一時使用にあたると判断した。
あてはめ
本件では、賃貸借成立の経緯や短期の期間設定の理由、さらに建築された建物の構造等が詳細に検討されている。これらの諸事実を総合すれば、賃借人に強固な権利保護を認める必要性は乏しく、当初から短期間の利用を目的とした客観的な実態が認められる。したがって、諸事情をしんしゃくしても、本件契約を一時使用のための賃貸借と認めた原審の判断は正当である。
結論
本件土地および土蔵の賃貸借は、一時使用のための賃貸借と認められる。したがって、借地法および借家法の強行規定(更新拒絶の正当事由等)の適用は排除される。
事件番号: 昭和29(オ)346 / 裁判年月日: 昭和30年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法9条(現・借地借家法25条)の「一時使用」にあたるかは、賃貸借の目的、期間、地上建物の種類・構造、賃料の多寡等から客観的に判断される。本判決は、原審の認定した事実関係に基づき、本件土地の賃貸借が一時使用のためのものであると認めることが可能であると判示し、上告を棄却した。 第1 事案の概要:本…
実務上の射程
借地借家法の適用を免れる「一時使用」の認定について、総合考慮の判断枠組みを示したものである。答案上では、契約書の名称だけでなく、建築物の構造(仮設性)や賃貸借に至る動機、期間設定の合理的理由といった具体的事実を、本判決が挙げた要素に沿って整理・評価することが求められる。
事件番号: 昭和32(オ)569 / 裁判年月日: 昭和34年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行の借地借家法25条相当)にいう「建物所有を目的とする賃貸借」に該当しないか、あるいは「一時使用のための借地権」と認められる場合には、存続期間に関する法定の制限を受けず、約定期間の満了により賃貸借が終了する。 第1 事案の概要:本件賃貸借契約において、当事者は約定の期間満了による契約終了…
事件番号: 昭和39(オ)58 / 裁判年月日: 昭和39年7月3日 / 結論: 棄却
土地の賃貸借契約が当初甲市内に散在していた露天商を一時整理収容するために市役所等のあっせんにより期間を一年と限って成立し、その後借地人らの申出によって期間を限って契約が再三更新され、かつ、最終の契約においては、期間を一年三箇月とし賃貸人の許可なく組立式以外の建物の築造を禁止し、夜警以外の居住を禁止するなど原判決の認定の…
事件番号: 昭和44(オ)800 / 裁判年月日: 昭和45年3月12日 / 結論: その他
戦災による地上建物の焼失後にその居住者を含む多数の者が権原なく土地を占有し、土地所有者は、その罹災者たる立場に同情したが、従来右士地の使用に関し多年紛争を繰り返して、右罹災当時も裁判上の和解により建物居住者に対する明渡を猶予中であつたという事情に鑑み、暫定的にのみ右占有者らの土地使用を許諾することとし、占有者らもその趣…
事件番号: 昭和33(オ)874 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法(旧借地法)の適用を排除する「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、賃貸借の期間、建物の種類、その他諸般の事情を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で本件宅地の賃貸借契約が締結された。原審は、当該契約がなされた背景、建物の利用目的、およ…