判旨
借地借家法(旧借地法)の適用を排除する「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、賃貸借の期間、建物の種類、その他諸般の事情を総合的に考慮して判断される。
問題の所在(論点)
本件宅地の賃貸借が、借地法の適用が除外される「一時使用のためになされたもの」といえるか、その判断基準が問題となる。
規範
借地法(現行借地借家法25条)にいう「一時使用のための借地権」とは、借地権の設定が短期間であることを要し、かつ、その設定の目的、建物の種類、構造、設置の態様、期間等に照らし、将来において当該契約を短期間で終了させる合意が客観的に正当化される場合を指す。
重要事実
上告人と被上告人との間で本件宅地の賃貸借契約が締結された。原審は、当該契約がなされた背景、建物の利用目的、および契約期間の定めの有無や更新の状況など、具体的な事実関係に基づき、本件賃貸借が一時使用目的であることを認定した。なお、詳細な具体的な事実関係は本判決文からは不明である。
あてはめ
原審が認定した諸事実(本判決文からは詳細は不明だが、契約の経緯や目的等)に照らせば、本件賃貸借は永続的な利用を前提としたものではなく、特定の目的のために短期間に限って行われたものと評価できる。したがって、借地法による保護(更新拒絶の正当事由等)を及ぼす必要のない一時使用のための賃貸借であると判断される。
結論
本件宅地の賃貸借は一時使用のためになされたものであると認められ、上告を棄却する。
実務上の射程
借地借家法25条(一時使用目的の借地権)の成否を判断する際の基礎的な判断枠組みとして機能する。実務上は、建物の構造(仮設建築物か否か)、利用目的の限定性、期間設定の合理性を総合的に考慮して、強行規定の適用を免れるだけの客観的な実体があるかを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和33(オ)273 / 裁判年月日: 昭和33年11月27日 / 結論: 棄却
一 仮建築の建物を建てて使用するため、期間を一年とし、当事者協議の上更新し得る約で土地を賃貸したところ、賃借人が、無断で本建築をしたので、賃貸人から家屋収去土地返還の調停を申立てた結果、賃貸期間を調停成立以後約八年とし期間満了のとき賃借人所有の地上建物は賃貸人に贈与する旨の調停が成立した場合、右賃貸借は、一時使用のため…
事件番号: 昭和34(オ)879 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地および建物の賃貸借が、借地法(現借地借家法25条)および借家法(現借地借家法40条)にいう「一時使用」にあたるかは、賃貸借成立の経緯、使用目的、建物の規模構造、期間の定めおよびその理由等を総合考慮して判断すべきである。 第1 事案の概要:土地および土蔵の賃貸借契約において、賃貸期間が短期に定め…
事件番号: 昭和35(オ)1066 / 裁判年月日: 昭和37年2月6日 / 結論: 棄却
地主の長男が医学修業中であり、卒業後その土地で医業を開始することを予定していたので、借地期間を右医業開始確定の時までとするため、契約にあたり、地上に建築せらるべき建物を戦災復旧用建坪一五坪のバラツク住宅と限定し、特に一時使用を条件とする旨契約書に明記されていた場合には、たとえ右開業時期が明確に定まつていなかつたため、一…
事件番号: 昭和33(オ)685 / 裁判年月日: 昭和34年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法の適用を排除する「一時使用のための借地権」に該当するか否かは、賃貸借の目的、期間、建物設備の種類、賃貸借成立の経緯等を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)と被上告人(賃主)との間で本件土地の賃貸借契約が締結された。原審(東京高判昭33・3・25)によれば、契約…
事件番号: 昭和33(オ)1024 / 裁判年月日: 昭和35年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地所有者が土地の使用を容認していたとはいえない状況において、当該土地の明渡し等を求める請求は、特段の事情がない限り権利の濫用(民法1条3項)には当たらない。 第1 事案の概要:上告人(被告)が本件土地を使用していたところ、被上告人ら(原告)が土地所有権に基づき本訴請求(明渡し等)を提起した。上告…