裁判所法第七条第二号は、憲法第三二条に違反しない。(大法廷昭和二三年三月一〇日判決、同二五年二月一日判決参照)
裁判所法第七条第二号は憲法第三二条に違反するか
裁判所法7条2号,憲法32条
判旨
憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、審級の構成等の裁判所の権限は立法により定められるべき事項であり、最高裁判所が抗告裁判権を有するのは訴訟法が特別に認めた場合に限られる。
問題の所在(論点)
裁判所の権限や審級制度の決定は立法府の裁量に属するか、また、最高裁判所への抗告権を法律により制限することは憲法32条に反しないか。
規範
憲法32条は裁判所において裁判を受ける権利を規定したものであり、いかなる裁判所において裁判を受けるべきかという裁判所の権限や審級等の事項は、憲法81条の規定を除き、原則として立法により定められるべき事項である。したがって、最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限定される。
重要事実
抗告人は、民事事件において最高裁判所に抗告を申し立てたが、その理由は実質的に単なる法令違反の主張であった。抗告人は、最高裁判所が抗告を広く受け入れないことは憲法32条の裁判を受ける権利を侵害し、裁判所法7条2号(最高裁判所の権限)が憲法に違反する旨を主張して抗告を維持しようとした。
事件番号: 昭和35(ク)107 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られる。抗告状に具体的な主張を伴わない憲法違反の記載があるのみで、法定期間内に理由書も提出されない場合は、抗告の適法性を欠き却下される。 第1 事案の概要:抗告人は原決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は…
あてはめ
憲法32条の趣旨は国民に裁判の機会を保障することにあるが、具体的な審級の定めは法律に委ねられている。本件において、抗告人の主張は実質的に単なる法令違反の主張に留まり、当時の民事訴訟法(旧419条の2)が定める特別抗告等の最高裁判所が裁判権を有する要件を満たさない。このような審級の制限は立法府の権限内であり、裁判を受ける権利を不当に侵害するものとはいえない。
結論
本件抗告は、最高裁判所が裁判権を有する適法な抗告には当たらないため、却下を免れない。裁判所法7条2号が憲法32条に違反するとの主張は採用できない。
実務上の射程
審級の構成に関する立法裁量を認めた重要判例である。司法試験においては、三審制が憲法上の要請かという論点に対し、本判例を引用して『審級の定めは立法政策の問題であり、憲法は三審制を直接保障していない』と論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和34(ク)151 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、具体的な裁判所の権限や審級等の制度設計は立法府の裁量に委ねられており、最高裁判所への抗告が法律で制限されていても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対する抗告を制限する法運用は、裁判所法7条2号を空文化させ、憲法32条(裁判を受ける…
事件番号: 昭和34(ク)45 / 裁判年月日: 昭和34年4月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判所において裁判を受ける権利を保障するが、裁判所の組織や審級等は立法政策の問題である。したがって、最高裁判所への抗告が認められるのは、法律により特に許容された場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が原決定(詳細は判決文からは不明)を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案…
事件番号: 昭和34(ク)27 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項に相当)に規定される憲法違反等の事由がない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の裁判について違憲を主張するとともに、その他の法令…
事件番号: 昭和34(ク)47 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。民事事件においては、特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)の要件を満たさない限り、最高裁判所への抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、競落許可決定における目的不動産の表示が…