判旨
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られる。抗告状に具体的な主張を伴わない憲法違反の記載があるのみで、法定期間内に理由書も提出されない場合は、抗告の適法性を欠き却下される。
問題の所在(論点)
民事事件において最高裁判所への抗告が適法とされるための要件、特に具体的な憲法違反の主張を伴わない抗告状の記載及び理由書の不提出が、抗告の適法性に与える影響が問題となる。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に認められた場合に限定される。民事事件においては、旧民事訴訟法419条の2(現行民事訴訟法336条等に相当)に定める特別抗告等の要件を満たす場合に限り適法となる。抗告理由には、原決定の憲法違反等に関する具体的かつ実質的な主張が含まれていることを要する。
重要事実
抗告人は原決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は、抗告状において「原決定は憲法29条に違反する」旨を記載したが、それ以上の具体的な主張は行わなかった。また、法律で定められた期間内に抗告理由書を提出することもなかった。
あてはめ
最高裁判所の裁判権は、法律が特に認めた場合にのみ及ぶところ、本件では抗告状に「憲法29条違反」という抽象的な文言があるに過ぎない。これは具体的な主張を伴うものとは認められず、実質的な抗告理由の提示を欠いている。さらに、法定期間内に理由書も提出されていない。したがって、本件抗告は訴訟法が予定する適法な抗告の形式を備えていないといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
最高裁への特別抗告等において、単なる条文番号の引用や具体性を欠く憲法違反の主張は、抗告理由として不適法とされる。実務上は、憲法違反の内容を具体的かつ詳細に指摘し、かつ法定期間内に理由書を完備しなければ、裁判権の行使を促すことができないことを示唆している。
事件番号: 昭和34(ク)27 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項に相当)に規定される憲法違反等の事由がない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の裁判について違憲を主張するとともに、その他の法令…
事件番号: 昭和34(ク)47 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。民事事件においては、特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)の要件を満たさない限り、最高裁判所への抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、競落許可決定における目的不動産の表示が…
事件番号: 昭和37(ク)101 / 裁判年月日: 昭和37年5月31日 / 結論: 却下
裁判所法第七条第二号は、憲法第三二条に違反しない。(大法廷昭和二三年三月一〇日判決、同二五年二月一日判決参照)
事件番号: 昭和29(ク)44 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当性に限定される。実質的に憲法違反を主張せず、単にその旨を称するにすぎない抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。その際、…
事件番号: 昭和36(ク)160 / 裁判年月日: 昭和36年6月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては特別抗告のみがこれに該当する。憲法違反を主張して特別抗告を申し立てる際には、単なる違憲の主張に留まらず、具体的な違憲事由を明示しなければ不適法となる。 第1 事案の概要:抗告人らは、原決定が憲法29条(…