判旨
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては特別抗告のみがこれに該当する。憲法違反を主張して特別抗告を申し立てる際には、単なる違憲の主張に留まらず、具体的な違憲事由を明示しなければ不適法となる。
問題の所在(論点)
民事事件において最高裁判所への特別抗告が認められるための要件、および憲法違反を理由とする抗告申立てにおける具体的な事由の提示義務の有無が問題となる。
規範
最高裁判所に対する抗告は、法律が特に認める場合に限定される。民事事件における最高裁判所への抗告(特別抗告)が適法となるためには、憲法違反を主張する際、単に抽象的な条文違反を指摘するだけでなく、原決定のいかなる点が憲法に違反するのかという具体的な事由を明確に示すことを要する。
重要事実
抗告人らは、原決定が憲法29条(財産権)および77条(最高裁判所の規則制定権等)に違背すると主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、抗告人らは原決定がどのようにこれらの憲法規定に抵触するのか、具体的な事由を詳しく説明していなかった。
あてはめ
本件抗告は、形式的には憲法29条および77条違反を主張しているものの、その具体的な内容や根拠については何ら示されていない。最高裁判所が裁判権を行使できるのは、民事訴訟法(旧法419条の2等)に基づき適法な特別抗告がなされた場合に限られるところ、具体的な違憲事由を欠く本件申立ては、適法な不服申立てとしての要件を満たしていないといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
最高裁判所への特別抗告(現行民訴法336条1項)を検討する際、憲法違反の主張には「具体的な事由」の記載が不可欠であることを示す判例である。答案上は、不服申立ての適法性を論じる文脈で、形式的な憲法条文の引用だけでは不十分であり、具体的な権利侵害の態様を主張すべき根拠として引用できる。
事件番号: 昭和34(ク)27 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項に相当)に規定される憲法違反等の事由がない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の裁判について違憲を主張するとともに、その他の法令…
事件番号: 昭和35(ク)107 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られる。抗告状に具体的な主張を伴わない憲法違反の記載があるのみで、法定期間内に理由書も提出されない場合は、抗告の適法性を欠き却下される。 第1 事案の概要:抗告人は原決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てた。抗告人は…
事件番号: 昭和34(ク)47 / 裁判年月日: 昭和34年3月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。民事事件においては、特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)の要件を満たさない限り、最高裁判所への抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、競落許可決定における目的不動産の表示が…
事件番号: 昭和28(ク)236 / 裁判年月日: 昭和28年12月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当をいうもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して民事事件の決定に対する抗告を申し立てた事案。抗告人は、旧民訴法413条(許可抗告等に関連する規定)が適…
事件番号: 昭和28(ク)276 / 裁判年月日: 昭和28年12月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法第419条の2(現行第336条)に定められた憲法解釈の誤り等を理由とする特別抗告に限定され、民訴法第413条(現行第330条)の再抗告の規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案である。しかし、その抗告理由は、原決定…