二戸建一棟の建物が甲乙両名の共有名義で登記されているからといつて、実体上各戸の単独所有者である甲乙が各戸の敷地部分を地主から別々に賃借したと認定できないことはないとされた事例。
判旨
1棟の建物を区分して買い受けた複数の者が、各建物部分の敷地を個別に賃借した場合、建物の共有登記や賃料の一括支払がなされていても、賃貸借関係は個別に成立すると解される。
問題の所在(論点)
建物が共有名義で登記され、賃料が代表者一名により一括支払されている場合に、各人が敷地を個別に賃借していると認定できるか。または、一方が全体を借りて他方に転貸している等の関係(無断転貸の有無等)が問題となるか。
規範
賃貸借契約の成否は、契約当事者の合理的意思解釈に基づき、目的物の範囲、賃料支払の態様、及び管理の状況等の実態に即して判断されるべきである。建物が共有名義で登記されていることや、賃料が便宜上代表者一名によって支払われているといった外形的事実があっても、それが個別の敷地利用を前提とするものであれば、直ちに共同賃借や転貸借関係を認めることはできない。
重要事実
D所有の土地上にあった1棟の2戸建建物のうち、南側部分をB1が、北側部分をB2がそれぞれDから買い受けた。その際、建物全体が1個の不動産として登記されていたため、B1・B2共有名義での移転登記がなされた。敷地については、B1・B2がそれぞれの建物の敷地部分を各別にDから賃借した。賃料の支払については、B1がB2の負担分を預かった上で、自身の分と合算してB1名義で一括して地主に支払っていた。
あてはめ
本件では、B1とB2はそれぞれ建物の特定部分を買い受けており、敷地についても各戸の敷地部分を個別に賃借する意図を有していた。賃料の支払がB1名義の一括払いである点は、B1がB2から半額を受け取って自分の分とあわせて支払っていたに過ぎず、事務上の利便を図ったものと評価できる。また、建物が共有名義であることも、登記実務上の制約(1棟1個の登記)に起因するものであり、敷地を個別に賃借したという実態を覆すに足りる事情とはいえない。したがって、土地の賃貸借はB1・B2それぞれと地主との間で別個に成立している。
事件番号: 昭和35(オ)1431 / 裁判年月日: 昭和37年8月10日 / 結論: 棄却
妻が住宅兼店舗の建物を所有する目的で賃借権を有する土地の極く一小部分に夫が物置を所有することによつてその敷地部分の占有を妻より委譲され、その敷地部分を占有することは、不法占有とはいえない。
結論
本件土地の各敷地部分につき、B1とB2がそれぞれ各別に賃借したとの認定は正当であり、上告人が主張する転貸借の成立は認められない。
実務上の射程
本判決は、外形的な登記や賃料支払の態様よりも、契約の実態や当事者の合理的意思を重視して賃貸借関係を認定した事例である。共有持分権者による土地利用が問題となる場面において、無断転貸を否定するための事実認定の枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)582 / 裁判年月日: 昭和32年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】組合員が組合の共同事業のために買い受けた土地は、登記名義にかかわらず組合財産として組合員の共有に属するが、他の組合員全員が持分を放棄し特定の組合員の単独所有とすることを承認した場合には、当該組合員の単独所有に帰する。 第1 事案の概要:被上告人、D、Eの3名は、アイスケーキ製造販売の共同事業(組合…
事件番号: 昭和36(オ)1234 / 裁判年月日: 昭和38年10月1日 / 結論: 棄却
賃貸借契約の成立が抗弁とされている場合に、右契約締結に至る事情は、当事者の主張がなければ認定判示が許されないものではない。
事件番号: 昭和34(オ)777 / 裁判年月日: 昭和36年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加訴訟(民訴法47条)において、原告、被告、参加人の三当事者間で権利関係を合一に確定する必要がある場合、原告が参加人の請求を認諾したとしても、被告がこれを争っている限り、その認諾は効力を生じない。 第1 事案の概要:原告Bが被告に対して訴えを提起し、さらに参加人が民事訴訟法71条(現4…
事件番号: 昭和37(オ)250 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
借地上に現存する甲建物が登記簿上借地人の所有として表示された乙建物と構造坪数の点で著しく異なる場合でも、甲建物が乙建物の一部である等両建物間の関係について原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、甲建物は、「建物保護ニ関スル法律」第一条にいう「登記シタル建物」にあたると解すべきである。