(昭和三六年六月一六日第二小法廷判決、民集一五巻六号一五八四頁と同旨)
仮執行宣言付支払命令に対し異議申立があつた場合になさるべき本案判決の主文。
民訴法440条,民訴法442条
判旨
請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者が修補請求権を適切に行使するためには、民法637条(改正前)に規定される期間内に具体的な請求をする必要があり、これがない場合は当該権利は消滅する。
問題の所在(論点)
請負契約に基づき瑕疵修補請求権を行使する場合において、民法637条(改正前)所定の期間内に修補請求を行わなかった場合、当該権利は消滅するか。また、当事者間に争いのない事実と異なる主張を上告審でなしうるか。
規範
請負人の瑕疵修補責任に関し、注文者が瑕疵修補請求権を維持するためには、法律が定める期間(民法637条所定の期間)内に、適法かつ具体的な請求を行うことを要する。この期間内に修補請求をした事実が認められない限り、当該請求権は消滅する。
重要事実
上告人(注文者)と被上告人(請負人)との間で、代金60万円の請負契約が成立した。目的物の引き渡し後、上告人は瑕疵があると主張したが、原審において、民法637条(改正前)に定める期間内に適法な修補請求が行われた事実は認められなかった。また、上告人は上告審において請負代金が55万円であった旨を主張したが、原審では代金60万円である事実に争いはなかった。
あてはめ
上告人は瑕疵の存在を前提に修補請求権を主張するが、原審の認定によれば、民法637条所定の期間内に具体的な修補請求をした事実は認められない。したがって、同条の期間経過により修補請求権は消滅したと解される。また、代金額が55万円であるとの主張については、原審で当事者間に争いがないとされた60万円という事実と矛盾し、かつ原審で主張されなかった新事実に該当するため、採用できない。
結論
民法637条所定の期間内に修補請求がなされていない以上、修補請求権は消滅しており、原判決の判断に違法はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
改正前民法下の判例であるが、請負の瑕疵(現行法の「契約不適合」)に関する期間制限の厳格な適用を示す。現在の民法637条では「通知」で足りるが、期間内に権利行使の意思を明確にすべきという実務上の教訓は共通する。また、自白の拘束力や上告審における新主張の禁止という民事訴訟法の基本原則も確認されている。
事件番号: 昭和33(オ)1046 / 裁判年月日: 昭和36年7月7日 / 結論: 棄却
一、控訴審最終口頭弁論期日に附帯控訴状が未だ提出送達されていなかつたとしても、附帯訴代理人がこれに基き附帯控訴の趣旨を陳述したのに対し、附帯控訴人の代理人において何ら異議を止めることなく、附帯控訴棄却の判決を求める旨申立て、そのまま弁論終結に至つたときは、民訴第141条により、附帯控訴人は右附帯控訴状の提出送達がなかつ…