隣接の他人家屋に差し掛けた木造小屋の所有を目的とする土地賃貸借が、借地法にいわゆる建物所有を目的とする賃貸借に当らないとされた事例
判旨
借地法(旧法)の保護を受ける賃貸借への変更の有無は、建物の大小、形態、構造のみならず、諸般の事情を総合的に斟酌して判断されるべきである。また、解約申入れが権利濫用に当たるか否かは、認定された事実関係に基づき個別具体的に判断される。
問題の所在(論点)
1. 土地賃貸借が借地法の適用を受ける建物所有目的の契約に変更されたか否かの判断基準。2. 賃貸人による解約申入れが権利濫用に該当するか否か。
規範
賃貸借契約が借地法の保護を受けるもの(建物所有を目的とする土地賃貸借)に変更されたか否かは、単に地上建物の大小、形態、構造といった外形的事項のみならず、契約締結の経緯や当事者の意思表示、利用実態等の諸般の事情を総合的に斟酌して判断する。
重要事実
上告人は、ある時点を境として、本件賃貸借が借地法の保護を受ける賃貸借(建物所有目的)に変更されたと主張した。原審は、建物の構造等だけでなく諸般の事情を考慮した上で、借地法適用対象への変更を否定し、被上告人による解約申入れを有効と認めた。上告人は、この判断には判例違反や理由不備があり、また解約申入れは権利濫用であると主張して上告した。
あてはめ
原判決は、建物の大きさや構造といった形式面のみならず、判示の諸般の事情を総合的に考慮して、借地法上の賃貸借への変更を否定している。これは証拠に照らして首肯できるものであり、法律の解釈誤りや理由不備はない。また、解約申入れが権利濫用にあたるとする上告人の主張は、原審が認定した事実関係と相容れない独自の事実を前提とするものであり、採用できない。さらに、証拠調べの手続きにおいても、唯一の証拠を却下したような違法は認められない。
結論
事件番号: 昭和36(オ)378 / 裁判年月日: 昭和37年2月16日 / 結論: 棄却
経済的変動により賃料額が不相当となつたときは、協定のうえこれを増減することができるし、期間を更新することもできる旨の約款があつても、その賃貸借を一時使用のためのものと認定できないことはない。
本件賃貸借が借地法の保護を受けるものに変更されたとは認められず、解約申入れを有効とした原審の判断は正当である。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
借地借家法(旧借地法)の適用の有無が争われる事案において、建物所有目的への合意変更を主張する際の考慮要素を示す。構造等の外形のみならず、黙示の合意を推認させる「諸般の事情」の主張・立証が重要となる。また、解約申入れに対する権利濫用の抗弁は、認定事実に基づく厳格な判断が必要であることを示唆している。
事件番号: 昭和36(オ)1350 / 裁判年月日: 昭和37年11月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法に基づく更新拒絶の正当事由の有無は、諸般の事情を総合的に考慮して判断されるべきであり、賃貸人の生活維持のために土地を使用する必要性等の個別事情は、正当事由を構成する一判断要素として認められる。 第1 事案の概要:土地の賃貸人である被上告人が、借地期間の満了に伴い更新拒絶を主張して土地の明け渡…
事件番号: 昭和36(オ)43 / 裁判年月日: 昭和36年7月6日 / 結論: 棄却
土地所有者が仮設建築物を所有して土地を不法占有する者を相手方として土地明渡の調停を申立てたところ、その建物の居住者が利害関係人として期日に出頭し、なお居住者が多数あることが判明したので、事態の解決を計るため、調停外において右居住者中の有力者一名と期間を一〇年とする土地賃貸借契約を結び、一〇年後には必ず返地することを確約…
事件番号: 昭和37(オ)250 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
借地上に現存する甲建物が登記簿上借地人の所有として表示された乙建物と構造坪数の点で著しく異なる場合でも、甲建物が乙建物の一部である等両建物間の関係について原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、甲建物は、「建物保護ニ関スル法律」第一条にいう「登記シタル建物」にあたると解すべきである。
事件番号: 昭和31(オ)627 / 裁判年月日: 昭和33年7月3日 / 結論: 棄却
土地改良法第八条第四項による書類の縦覧期間が法定の二〇日間に満たなくても、満一〇日間縦覧期間が存した以上、同法第一〇条第一項によつてした知事の土地改良区設立認可は当然無効ではない。