一時使用のための借地権設定と認められた事例
判旨
借地法9条(現借地借家法25条)の「一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合」に該当するか否かは、借地権設定の目的、建物の種類・構造、賃貸借期間の長短、その他の諸般の事情を総合的に考慮して判断される。
問題の所在(論点)
本件土地の賃貸借契約が、借地法9条(現借地借家法25条)に規定する「一時使用」目的の借地権設定にあたるか。
規範
借地法9条(現借地借家法25条)にいう「一時使用のため借地権を設定したことが明らかな場合」とは、賃貸借契約の動機、目的、建物の種類・構造、存続期間、権利金等の授受の有無など、客観的・主観的な諸事情を総合考慮し、将来において短期間で借地関係を終了させる合意があったと認められる場合を指す。
重要事実
上告人A2、訴外D、被上告人の被承継人の3名は、共同事業(菓子製造販売)のため本件土地にトタン葺バラックを建築して使用していた。昭和25年に共同事業を解散した際、上告人A1が建物及び設備を買い受け、コンクリート造冷蔵庫を増設して営業を継続したが、昭和27年の火災で建物の大部分が焼失した。A1は残存したバラックを補修して店舗兼居宅として使用し続けたが、土地所有者(被上告人側)は一時使用を理由に建物収去土地明渡しを請求した。
あてはめ
本件では、当初の建物がトタン葺のバラックであったこと、共同事業の解散に伴う資産譲渡の経緯、および火災後の補修状況等の事実関係が認定されている。原審はこれらの諸事情を総合し、借地権の設定が恒久的な利用を意図したものではなく、特定の事業目的や暫定的な利用等、一時的な使用のためになされたことが客観的に明らかであると評価した。最高裁もこの事実認定のプロセスを正当として是認した。
結論
事件番号: 昭和38(オ)235 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
準備書面及び書証の表示文言に判示のような記載があっただけでは、当該要証事実の主張があったとは見られない。
本件土地賃貸借は一時使用のための借地権設定にあたり、借地法(旧法)の更新拒絶に関する制限の適用を受けないため、土地明渡し請求は認められる。
実務上の射程
借地借家法25条(一時使用目的の借地権)の成否が争われる事案での規範として活用できる。答案上は、建物の堅固性(バラックか否か)、利用目的の限定性、期間の定めの有無といった客観的事実を摘示し、それらから「将来的に短期間で終了させる合理的理由」を基礎づけるという流れで論述する。
事件番号: 昭和34(オ)879 / 裁判年月日: 昭和35年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地および建物の賃貸借が、借地法(現借地借家法25条)および借家法(現借地借家法40条)にいう「一時使用」にあたるかは、賃貸借成立の経緯、使用目的、建物の規模構造、期間の定めおよびその理由等を総合考慮して判断すべきである。 第1 事案の概要:土地および土蔵の賃貸借契約において、賃貸期間が短期に定め…
事件番号: 昭和36(オ)43 / 裁判年月日: 昭和36年7月6日 / 結論: 棄却
土地所有者が仮設建築物を所有して土地を不法占有する者を相手方として土地明渡の調停を申立てたところ、その建物の居住者が利害関係人として期日に出頭し、なお居住者が多数あることが判明したので、事態の解決を計るため、調停外において右居住者中の有力者一名と期間を一〇年とする土地賃貸借契約を結び、一〇年後には必ず返地することを確約…