判旨
借地法(現行借地借家法25条)における一時使用目的の借地権の成否は、使用目的や期間等の諸事情から総合的に判断される。建物収去を伴う解約において、当初の催告期間が短期間であっても、その後の相当期間の経過により解約の効力は生じる。
問題の所在(論点)
1. 棒炭乾燥場としての使用目的による賃貸借が、借地法にいう「一時使用の為め」のものと認められるか。2. 建物収去に要する期間として不十分な予告期間による解除通知が、その後の期間経過により有効となるか。
規範
借地権の存続期間等の規定が適用されない「一時使用の為め」の賃貸借(借地法9条、現行借地借家法25条)に該当するか否かは、客観的な利用目的、賃貸借の期間、地上建物の種類・構造等を総合的に考慮して判断する。また、解約の意思表示から相当期間が経過すれば、当初の予告期間が不十分であっても解約は有効となる。
重要事実
本件は、宅地を棒炭の乾燥場として使用する目的で賃貸借契約が締結された事案である。借地人は当該土地上に建物を所有していたが、賃貸人が契約の解除を求めた。解除に際して示された期間は3日間であったが、実際にはその後3週間の予告期間が経過した状態で解除の手続きが進められた。
あてはめ
本件宅地は棒炭乾燥場として使用する目的で貸し付けられたものであり、その利用態様は恒久的な居住や営業を前提とするものではない。このような特定の限定された目的は、客観的にみて「一時使用」と認めるに足りる。また、解除の予告期間について、仮に当初の3日間が建物収去に不十分であったとしても、現にその後3週間という期間が経過している以上、解除の効力を否定すべき違法な点はないといえる。
結論
本件賃貸借は一時使用目的のものと認められ、3週間の経過をもってなされた契約解除は有効である。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
借地借家法25条の「一時使用」の認定において、目的の特殊性を重視する姿勢を示す。答案上では、一時使用の成否を判断する際に、単なる当事者の主観だけでなく「棒炭乾燥場」のような具体的利用目的の性質から論証する際の参考となる。また、解約予告期間の不足が期間経過により治癒される点も、実務的な構成として活用できる。
事件番号: 昭和38(オ)840 / 裁判年月日: 昭和39年4月24日 / 結論: 棄却
一時使用のため借地権が設定されている場合においては、借地権者は借地法第一〇条に定める建物買取請求権を有しない。
事件番号: 昭和33(オ)874 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法(旧借地法)の適用を排除する「一時使用のための賃貸借」に該当するか否かは、契約の目的、賃貸借の期間、建物の種類、その他諸般の事情を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間で本件宅地の賃貸借契約が締結された。原審は、当該契約がなされた背景、建物の利用目的、およ…