一時使用のため借地権が設定されている場合においては、借地権者は借地法第一〇条に定める建物買取請求権を有しない。
一時使用のための借地権と借地法第一〇条の建物買取請求権の有無。
借地法10条
判旨
一時使用のために設定された借地権については、借地法10条(現行借地借家法13条)の建物買取請求権の規定は適用されない。また、一時使用目的の借地契約における損害金算出にあたり、地代家賃統制令の適用は排除される。
問題の所在(論点)
一時使用目的の借地権において、借地権者は建物買取請求権を行使できるか。また、一時使用の土地賃貸借について地代家賃統制令の適用があるか。
規範
借地法(現行の借地借家法25条参照)において、一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、同法の建物保護に関する規定の適用が排除される。したがって、借地権者は建物買取請求権(旧借地法10条、現行法13条)を有しない。
重要事実
上告人(借地権者)は、被上告人(地主)との間で土地賃貸借契約を締結したが、原審において当該契約は「一時使用の目的」であると事実認定された。契約終了後、上告人は所有する建物の買取を請求するとともに、損害金の算定において地代家賃統制令の適用を主張して争った。
あてはめ
本件借地契約は一時使用目的であると認められる。この場合、建物買取請求権を認める必要性はなく、判例の趣旨に照らして否定される。また、地代家賃統制令23条2項1号によれば、一時使用のために賃貸する土地については同令の適用がない。したがって、統制令を前提としない損害額の算定は適法である。
結論
借地権者は建物買取請求権を有さず、また一時使用目的の土地賃貸借には地代家賃統制令の適用もないため、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
借地借家法25条の「一時使用目的」の該当性が認められる事案において、建物買取請求権(13条)や存続期間(3条)の規定を排除する際の根拠として活用できる。答案上は、まず一時使用の該当性を認定した上で、本判例を引いて買取請求権の不発生を論じるのが一般的である。
事件番号: 昭和38(オ)235 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
準備書面及び書証の表示文言に判示のような記載があっただけでは、当該要証事実の主張があったとは見られない。
事件番号: 昭和33(オ)273 / 裁判年月日: 昭和33年11月27日 / 結論: 棄却
一 仮建築の建物を建てて使用するため、期間を一年とし、当事者協議の上更新し得る約で土地を賃貸したところ、賃借人が、無断で本建築をしたので、賃貸人から家屋収去土地返還の調停を申立てた結果、賃貸期間を調停成立以後約八年とし期間満了のとき賃借人所有の地上建物は賃貸人に贈与する旨の調停が成立した場合、右賃貸借は、一時使用のため…