一 借地権消滅後地上建物を買受けた者は、建物買取請求権がない。 二 土地の一時使用の賃貸借については、建物買取請求権がない。
一 借地権消滅後の地上建物買受人に建物買取請求権があるか 二 土地の一時使用の賃貸借と建物買取請求権
借地法9条,借地法10条
判旨
一時使用のために設定されたことが明らかな借地権については、建物買取請求権に関する規定(旧借地法10条、現行借地借家法13条)は適用されない。
問題の所在(論点)
一時使用目的の借地権(旧借地法9条)において、借地権者は建物買取請求権(旧借地法10条、現行13条)を行使することができるか。
規範
一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合(旧借地法9条、現行借地借家法25条)には、建物買取請求権に関する規定は適用されない。これは、一時的な利用を目的とする契約の性質上、存続期間満了時に地主に建物の買取りを強制することは、制度の趣旨に反するためである。
重要事実
下関市は、道路敷用地として買収した土地について、終戦後の混乱期に市民の生活再建を支援するため、バラック建築を条件に期間を1年と限って一時使用を認める賃貸借契約を締結した。その後、1年ごとに契約更新を繰り返したが、昭和28年1月以降は更新を拒絶した。上告人は、この借地権が消滅した後の昭和29年1月に当該建物をもとの賃借人から買い受け、土地所有者である下関市に対し、建物買取請求権を行使できると主張して争った。
あてはめ
本件土地の賃貸借は、もともと道路敷用地である土地を、戦後の混乱期における市民の生活支援という特殊な目的のため、1年という極めて短い期間を定めてバラック建築を許容したものである。このような経緯から、当該契約は「一時使用のために借地権を設定した」ものと認められる。この場合、建物買取請求権の規定は排除されるため、借地権消滅後に建物を譲り受けた上告人が買取請求権を主張する余地はない。
結論
一時使用目的の借地権には建物買取請求権の規定は適用されないため、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
借地借家法25条が適用される「一時使用」の事案において、建物買取請求権(13条)を否定する際の有力な根拠となる。実務上は、利用目的の限定や期間の短さ、建物構造の簡易性等の事実から「一時使用」を認定した上で、直ちに13条の適用を排斥する流れで論じる。
事件番号: 昭和31(オ)327 / 裁判年月日: 昭和33年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法9条(現・借地借家法25条)の「一時使用」目的の借地権該当性は、当事者の主観的な意思のみならず、諸般の客観的な事実関係を総合的に斟酌して判断すべきである。 第1 事案の概要:本件宅地の賃貸借に関し、一時使用を目的とするものか否かが争われた。原審は、証拠に基づき認定した諸般の事情関係から、本件…
事件番号: 昭和38(オ)235 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
準備書面及び書証の表示文言に判示のような記載があっただけでは、当該要証事実の主張があったとは見られない。
事件番号: 昭和33(オ)273 / 裁判年月日: 昭和33年11月27日 / 結論: 棄却
一 仮建築の建物を建てて使用するため、期間を一年とし、当事者協議の上更新し得る約で土地を賃貸したところ、賃借人が、無断で本建築をしたので、賃貸人から家屋収去土地返還の調停を申立てた結果、賃貸期間を調停成立以後約八年とし期間満了のとき賃借人所有の地上建物は賃貸人に贈与する旨の調停が成立した場合、右賃貸借は、一時使用のため…