公職選挙法第二一一条の訴訟においては、同法第二五一条の二所掲の犯罪によつて刑に処せられた者が当選人の選挙運動の総括主宰者又は出納責任者であつたかどうかを、刑事判決に拘束されることなく、審理判断すべきものとする。
公職選挙法第二一一条の訴訟における審理の範囲
公職選挙法211条,公職選挙法251条の2
判旨
公職選挙法251条の2に基づく連座制による当選無効訴訟において、総括主宰者等が刑事判決で刑に処され確定した事実は、当該当選無効を当然に生じさせる効力を有し、その刑事判決の事実認定の当否を当該訴訟で争うことはできない。
問題の所在(論点)
公職選挙法251条の2に基づく当選無効訴訟において、連座の対象となる総括主宰者等の刑事判決が確定している場合、当該刑事判決における事実認定の当否を争うことができるか。
規範
公職選挙法251条の2の規定は、当選人の選挙運動総括主宰者または出納責任者が同法所定の罪を犯し、刑に処する判決が確定した場合には、その確定の効力として当該当選人の当選を当然に無効とする趣旨である。したがって、当選無効訴訟において右刑事判決の事実上または法律上の当否を争うことは許されない。
重要事実
上告人の選挙において、選挙運動総括主宰者と認定されたDが、公職選挙法221条(買収及び利害誘導罪)に違反したとして有罪判決を受け、その判決が確定した。これに基づき、上告人の当選無効が争われたが、上告人はDが総括主宰者であったとする認定等に採証法則違反があるとして、刑事判決の前提事実を争った。
あてはめ
公職選挙法251条の2が定める連座制は、選挙の公正を確保するため、総括主宰者等の不正行為について刑事判決が確定した事実を直接の要件としている。本件において、Dが総括主宰者として有罪判決を受け、その判決が確定した事実は原審によって適法に認定されている。この刑事判決の確定により、同条の要件は充足され、当選無効という法的効果が当然に帰結する。そのため、原審においてDが総括主宰者であったか否か等の刑事判決の内容を改めて審理・説示することは不要であり、その当否を争う上告理由も認められない。
結論
当選無効訴訟において確定した刑事判決の事実上の当否を争うことはできず、判決確定により当選は当然に無効となる。上告棄却。
実務上の射程
連座制に基づく当選無効訴訟の性質を、刑事判決の確定という客観的事実によって自動的に効果が生じるものと構成するものである。行政訴訟や公職選挙法上の特殊な訴訟において、先行する刑事確定判決の事実認定を後行の訴訟で争えないとする「争点効」に近い強力な遮断効を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和36(オ)1106 / 裁判年月日: 昭和37年3月14日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五一条の二、第二一一条は、憲法第一三条、第一五条及び第三一条に違反しない。