判旨
公職選挙法251条の2にいう「選挙運動を総括主宰した者」とは、文書や演説等の具体的運動に直接従事することを要せず、選挙運動を全体として管理し、重要事項の決定や指示を行っている者を指す。
問題の所在(論点)
公職選挙法251条の2(連座制)における「選挙運動を総括主宰した者」の意義。具体的には、自ら具体的な選挙運動に従事していない者や、形式上の掲示責任者でない者が、これに該当し得るか。
規範
「選挙運動を総括主宰した者」とは、必ずしも文書、演説、ポスター、立看板等による具体的運動を自ら手を下して行うことを要しない。これらの運動を全体として総括主宰した者であれば、これに該当すると解すべきである。また、掲示責任者や演説会の責任者といった形式上の地位のみをもって総括主宰者の該当性を判断するものではない。
重要事実
訴外Dは、本件選挙運動期間中、旅館の一室を独占的に使用していた。Dはそこで、被告の選挙運動の参謀格であったF、G、H等と協議して重要事項を決定した。さらに、その決定を自ら、または参謀格の者を通じて下部の運動員に伝え、運動員等からの報告も参謀格の者を通じて受けていた。一方で、立看板やポスター等の責任者として氏名が表示されていたのは、Dではなく別の者(I)であった。
あてはめ
Dは具体的運動(演説やポスター掲示等)を自ら行っていたわけではないが、旅館を拠点に選挙運動の参謀格と協議し、重要事項を決定していたといえる。また、決定事項の伝達や運動員からの報告収集といった一連の指揮系統の中心にいた。このような実態に鑑みれば、Dは選挙運動を全体として総括主宰した者に当たると評価される。掲示責任者等の形式上の肩書きに囚われる必要はない。
結論
Dを「選挙運動を総括主宰した者」と認定した判断は正当であり、具体的運動の実施や形式的責任者の地位は要件とならない。
実務上の射程
連座制における総括主宰者の認定において、形式的な役職(責任者名義)よりも実質的な指揮・決定権限を重視する実質的判断の枠組みを示したものである。答案上は、組織内部での意思決定プロセスや指示報告の有無を事実として拾い、本判例を根拠に「全体を総括主宰した」と評価する際に活用する。
事件番号: 昭和39(行ツ)100 / 裁判年月日: 昭和40年2月18日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五一条の二に規定する「選挙運動を総括主宰した者」とは、実質上選挙運動の中心的存在として、選挙運動に関する事務全体を掌握し指揮する立場にあつた者を指称するものと解すべきである。
事件番号: 昭和32(オ)870 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】「小D」と記載された投票が、特定の候補者である「木D」の誤記であると認められる場合には、当該候補者の有効投票として取り扱うべきである。 第1 事案の概要:選挙における投票において、投票用紙に「小D」と記載されたものがあった。一方で、本件選挙の候補者には「木D」という氏名の者が存在していた。原審はこ…