公職選挙法第二五一条の二、第二一一条は、憲法第一三条、第一五条及び第三一条に違反しない。
公職選挙法第二五一条の二、第二一一条の憲法第一三条、第一五条、第三一条適否
公職選挙法251条の2,公職選挙法211条,憲法13条,憲法15条,憲法31条
判旨
選挙運動の総括主宰者の選挙犯罪による当選無効(連座制)を定めた公職選挙法251条の2等は、当選人の選任・監督上の過失を免責事由としない場合であっても、公明適正な選挙の確保という目的から、憲法15条、13条、31条等に違反しない。
問題の所在(論点)
選挙運動の総括主宰者が選挙犯罪を犯した場合に、候補者の選任・監督上の過失の有無を問わず当選を無効とする連座制(公職選挙法251条の2及び211条)が、憲法13条(個人の尊重)、15条(参政権)、31条(適正手続)等に違反し、無憲か。
規範
公明かつ適正な選挙の確保という観点から、選挙運動において実権を持つ者の違法行為により得られた当選を無効とすることは、選挙制度の本旨にかなう。そのため、当選人が当該者の選任及び監督について注意を怠ったか否かにかかわりなく、その当選を無効とする制度設計は憲法上許容される。
重要事実
公職選挙法は1954年の改正により、当選人が選挙運動を総括主宰した者の選任及び監督につき相当の注意をしたときの免責条項を削除した。上告人は、この連座制の強化が、自己に責任のない事由によって当選が無効とされる点において憲法13条、15条、31条に反すると主張して争った。
あてはめ
選挙運動の総括主宰者は、候補者のために運動全般を支配する実権を持つ者であり、その者の犯罪行為は当選に相当な影響を与え、得票が自由な意思によるものとは言い難くなる。このような汚染された選挙結果を無効にすることは、公明適正な選挙を確保する目的に適う。したがって、当選人の過失の有無を問わず無効とする改正後の規定は合理的であり、不当に参政権等を侵害するものとはいえない。
結論
公職選挙法251条の2等の連座制規定は憲法に違反せず、合憲である。
実務上の射程
連座制の合憲性に関するリーディングケース。答案上は、参政権(15条)や適正手続(31条)の制約が問題となる場面で、選挙の公明適正の確保という公共の福祉による正当化の根拠として引用する。無過失責任的な構成が認められる点に特徴がある。
事件番号: 昭和39(行ツ)55 / 裁判年月日: 昭和39年10月13日 / 結論: 棄却
公職選挙法第二五一条の二及び第二一一条の規定は、憲法第一三条、第一五条及び第三一条に違反するものではない。
事件番号: 平成8(行ツ)117 / 裁判年月日: 平成8年7月18日 / 結論: 棄却
選挙運動の総括主宰者、出納責任者等が選挙犯罪により刑に処せられたときは公職の候補者等であった者が公職選挙法二五一条の五に規定する時から五年間当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨の同法二五一条の二第一項の規定は、憲法一五条、三一条、九…
事件番号: 平成9(行ツ)31 / 裁判年月日: 平成9年7月15日 / 結論: 棄却
公職選挙法二五一条の三の規定は、憲法一三条、一四条、一五条一項三一条、三二条、四三条一項九三条二項に違反しない。