選挙運動の総括主宰者、出納責任者等が選挙犯罪により刑に処せられたときは公職の候補者等であった者が公職選挙法二五一条の五に規定する時から五年間当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨の同法二五一条の二第一項の規定は、憲法一五条、三一条、九三条に違反しない。
公職の候補者等であった者の立候補の一部禁止を定めた公職選挙法二五一条の二第一項と憲法一五条、三一条、九三条
公職選挙法251条の2,憲法15条,憲法31条,憲法93条
判旨
公職選挙法251条の2第1項(連座制)による立候補の禁止は、選挙の公明・適正の保持という極めて重要な法益を実現するための合理的かつ必要最小限の制限であり、憲法15条、31条、93条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法251条の2第1項が定める連座制による立候補の制限が、憲法15条(参政権・立候補の自由)、31条(適正手続)、93条(地方自治)に違反しないか。
規範
立候補の自由は憲法15条1項が保障する重要な基本的人権であるが、絶対無制約ではない。選挙の公明・適正という「極めて重要な法益」を達成するための制限については、その目的が合理的であり、制限の態様が目的達成のために必要かつ合理的な範囲内にとどまる限り、憲法に適合する。
重要事実
上告人の選挙運動において、総括主宰者や出納責任者等の重要な地位を占める者が買収罪等の選挙犯罪を犯し、刑に処せられた。これにより、公職選挙法251条の2第1項に基づき、候補者であった上告人に対し、当該選挙区等での5年間の立候補禁止および当選無効の効力が生じた。上告人は、同規定が立候補の自由を侵害し違憲であると主張した。
事件番号: 平成9(行ツ)31 / 裁判年月日: 平成9年7月15日 / 結論: 棄却
公職選挙法二五一条の三の規定は、憲法一三条、一四条、一五条一項三一条、三二条、四三条一項九三条二項に違反しない。
あてはめ
まず、本規定の目的は、民主主義の根幹である公職選挙の公明・適正を厳粛に保持することにあり、極めて重要な法益を目指すものとして合理的である。次に、制限の手段については、選挙運動で重要な地位を占める者が選挙犯罪を犯したことを理由に、当該候補者の立候補を「所定の選挙」および「5年間」という期間に限定して禁止するものである。これは、重大な選挙違反を背景とする不当な影響力を排除するために必要かつ合理的な範囲内での制限といえる。したがって、個別の事案への適用を含め、憲法の各規定に違反するものではない。
結論
公職選挙法251条の2第1項は、憲法15条、31条、93条に違反しない。したがって、上告人の当選無効および立候補禁止を認めた原審の判断は正当である。
実務上の射程
立候補の自由の制限に関する合憲性判定基準を示す。目的が「極めて重要な法益」であり、手段が「必要かつ合理的」であるかを問う枠組みは、他の参政権制限(在外日本人投票権等)の論証における比較対象としても有用である。
事件番号: 平成10(行ツ)215 / 裁判年月日: 平成10年11月17日 / 結論: 棄却
公職選挙法二五一条の二第一項五号、二項の規定は、憲法一五条一項、三一条に違反しない。
事件番号: 平成8(行ツ)193 / 裁判年月日: 平成9年3月13日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法二五一条の三の規定は、憲法前文、一条、一五条、二一条、三一条に違反しない。 二 会社の代表取締役乙が、公職の候補者甲を当選させる目的の選挙運動を会社を挙げて行おうと企図し、従業員の朝礼及び下請業者との会食において甲にあいさつをさせ、投票及び投票の取りまとめを依頼するなどの選挙運動をする計画を会社の幹部らに…