公職選挙法二五一条の二第一項五号、二項の規定は、憲法一五条一項、三一条に違反しない。
公職選挙法二五一条の二第一項五号、二項と憲法一五条一項、三一条
公職選挙法251条の2第1項5号,公職選挙法251条の2第2項,憲法15条1項,憲法31条
判旨
公職選挙法の秘書連座制(251条の2第1項5号、2項)は、選挙の公明・適正の確保という重要な目的のために必要かつ合理的な規制であり、憲法15条1項、31条に違反しない。秘書とは「公職の候補者等に使用される者で当該候補者の政治活動を補佐するもの」を指し、その範囲を重要部分の補佐に限定する必要はない。
問題の所在(論点)
公職選挙法251条の2第1項5号および2項(秘書連座制)が、憲法15条1項(被選挙権)および31条(適正手続)に違反するか。また、同号の「秘書」の意義を「政治活動の重要部分を補佐する者」等に限定解釈すべきか。
規範
公職選挙法251条の2第1項5号の合憲性については、規制の目的および手段の合理性の観点から判断する。同規定は、選挙犯罪の抑制という「極めて重要な法益」を実現する合理的な目的を有し、手段においても、秘書の定義が明確であること、意思を通じて犯罪が行われた場合に限られること、免責規定(同条4項)が存在することから、全体として必要かつ合理的なものといえる。また、同条2項の推定規定も、候補者による名称使用の承諾・容認を要件とし、反証による排除が可能であるため、適正手続に反しない。
重要事実
公職の候補者の「秘書」が、候補者等と意思を通じて一定の悪質な選挙犯罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられた。これに基づき、連座制の規定を適用して候補者の当選無効や立候補禁止の効果が生じた事案。上告人は、同法251条の2第1項5号(秘書連座制)および2項(名称による秘書推定規定)が、被選挙権を侵害し、適正手続に反する憲法違反であること、また「秘書」の意義を限定的に解釈すべきであることを主張して争った。
事件番号: 平成9(行ツ)31 / 裁判年月日: 平成9年7月15日 / 結論: 棄却
公職選挙法二五一条の三の規定は、憲法一三条、一四条、一五条一項三一条、三二条、四三条一項九三条二項に違反しない。
あてはめ
まず、目的については、従来の連座制では不十分であった選挙犯罪の抑制を図り、民主主義の根幹たる選挙の公明・適正を確保するものであり、合理的である。次に、手段については、秘書の定義が「政治活動を補佐する者」と明確であり、立候補禁止の期間等も限定されている。さらに、おとり行為等の免責規定が設けられている。推定規定(2項)についても、候補者自身の承諾等が要件とされ、反証も許されていることから、手段として必要かつ合理的である。したがって、「秘書」の意義を政治活動の重要部分の補佐に限定したり、選挙運動と区別される政治活動に限定したりする理由はない。
結論
公職選挙法251条の2第1項5号および同条2項は、憲法15条1項、31条に違反しない。原審の判断は正当であり、本件上告を棄却する。
実務上の射程
被選挙権の制限(15条1項)および適正手続(31条)の判断枠組みとして、規制目的の重要性と手段の必要性・合理性を検討する典型例として活用できる。特に「連座制」という他人の行為で不利益を被る制度であっても、身分関係の明確性や反証・免責の機会が確保されていれば合憲とされる基準を示している。
事件番号: 平成8(行ツ)117 / 裁判年月日: 平成8年7月18日 / 結論: 棄却
選挙運動の総括主宰者、出納責任者等が選挙犯罪により刑に処せられたときは公職の候補者等であった者が公職選挙法二五一条の五に規定する時から五年間当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙に立候補することを禁止する旨の同法二五一条の二第一項の規定は、憲法一五条、三一条、九…
事件番号: 平成8(行ツ)193 / 裁判年月日: 平成9年3月13日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法二五一条の三の規定は、憲法前文、一条、一五条、二一条、三一条に違反しない。 二 会社の代表取締役乙が、公職の候補者甲を当選させる目的の選挙運動を会社を挙げて行おうと企図し、従業員の朝礼及び下請業者との会食において甲にあいさつをさせ、投票及び投票の取りまとめを依頼するなどの選挙運動をする計画を会社の幹部らに…