裁判所は当事者の主張に拘束せられることなく投票の効力を判断することができる。
投票の効力に関する当事者の主張と裁判所の判断
公職選挙法207条,公職選挙法219条,民訴法186条
判旨
投票の効力判断において、裁判所は当事者の主張に拘束されず独自の解釈適用が可能であり、また意識的な記載でない打点は他事記入に当たらない。
問題の所在(論点)
1. 投票の効力判断において、裁判所は当事者の主張に拘束されるか。2. 投票用紙になされた「打点」が他事記入として無効原因になるか。
規範
投票の効力に関する判断は、事実の主張にとどまらず法律の解釈適用を含むものであるため、裁判所は当事者の主張に拘束されることなく、職権でその効力を判断することができる。また、投票用紙上の記載が「他事記入」に該当し無効となるかは、選挙人が意識的に何事かを記載したといえるか否かによって決せられる。
重要事実
選挙における投票の効力が争われた事案。特定の投票用紙に打点がなされており、これが公職選挙法上の他事記入に該当し無効となるかが問題となった。原審は、当該打点は意識的に記載されたものではないと認定し、投票を有効と判断した。これに対し上告人が、裁判所は当事者の主張に拘束されるべきであることや、打点の分類・説明が不十分であることを理由に上告した。
あてはめ
1. 投票の効力判断は、法律の解釈適用という法的評価を伴うものである。したがって、当事者が特定の事実や法的効力を主張していても、裁判所はそれに拘束されず、客観的に投票の有効・無効を判断しうる。2. 本件の投票用紙に見られる打点は、いずれも選挙人が意識的に何事かを書き加えたものとは認められない。このような無意識の痕跡は、禁止される「他事記入」には該当しないと解するのが相当である。
結論
裁判所は当事者の主張に拘束されず投票の効力を判断でき、意識的な記載でない打点は他事記入に当たらないため、当該投票は有効である。
実務上の射程
選挙訴訟における投票の有効性判定において、裁判所の職権探知主義的な性格と、他事記入の判断基準(主観的意図の重要性)を示すものとして活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)879 / 裁判年月日: 昭和27年7月11日 / 結論: 棄却
公職選挙法第六七条後段の趣旨は、投票の効力について、同法施行前よりも厳格に解すべきものとする趣旨ではなく、かえつて選挙人の意思が投票の記載で判断し得る以上は、なるべくこれを有効とすべきものとする趣旨である。
事件番号: 昭和47(行ツ)46 / 裁判年月日: 昭和47年7月14日 / 結論: 棄却
投票の裏面に多数の文字らしいものを記載(原判決別紙目録九参照)した投票は、他事記載のあるものとして無効と解すべきである。