認知の確定判決がある場合には、第三者は民法第七八六条により反対の事実を主張して認知無効の訴を提起することはできない。
認知の判決の第三者に対する効力
人事訴訟法32条1項,人事訴訟法18条1項,民法786条
判旨
認知の訴えによる確定判決の効力は第三者に対しても及び、民法786条の規定は判決による認知には適用されないため、利害関係人は確定判決による認知の効力を争うことができない。
問題の所在(論点)
認知の訴えによる確定判決がある場合に、利害関係人が民法786条を根拠として、あるいはその他の理由をもって当該認知の効力を争うことができるか。
規範
認知の訴えの判決が確定した場合、その効力は第三者に対しても及ぶ(人事訴訟法旧32条1項、18条1項、現24条1項参照)。また、民法786条(認知に対する反対の事実の主張)の規定は、任意認知の場合に適用されるものであり、判決による認知があった場合には適用されない。
重要事実
認知の訴えによってなされた認知の判決が既に確定した。上告人ら(利害関係人)は、当該認知の効力を争おうとして訴えを提起したが、原審は判決の対世効を理由にこれを認めなかったため、上告に至った。
あてはめ
事件番号: 昭和26(オ)808 / 裁判年月日: 昭和28年6月26日 / 結論: 棄却
認知の判決が正当な当事者の間に確定している以上、該判決は第三者に対しても効力を有するから、これに対し再審の手続で争うのは格別、もはや第三者も反対の事実を主張して認知無効の訴を提起することはできない。
認知の訴えにおいては、利害関係人は手続に参加することが可能であった。しかし、既に認知の判決が確定した以上、法律の規定に基づき、その判決の効力は上告人らを含む第三者に対しても及ぶ(対世効)。民法786条は任意認知を対象とした規定であり、司法判断が介在する判決による認知については、その既判力および対世効が優先するため、同条を適用して効力を争うことはできない。
結論
確定判決による認知の効力を争うことはできない。上告を棄却する。
実務上の射程
人事訴訟における判決の対世効(人事訴訟法24条1項)の重要性を示す判例である。任意認知(民法781条)であれば786条による無効主張の余地があるが、強制認知(同787条)の場合は確定判決の効力が絶対的であることを強調する際に用いる。
事件番号: 昭和26(オ)866 / 裁判年月日: 昭和29年4月30日 / 結論: 棄却
認知の訴は、現行法上これを形成の訴と解すべきものである。
事件番号: 平成25(受)442 / 裁判年月日: 平成26年3月28日 / 結論: 棄却
認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができ,この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならない。