認知の判決が正当な当事者の間に確定している以上、該判決は第三者に対しても効力を有するから、これに対し再審の手続で争うのは格別、もはや第三者も反対の事実を主張して認知無効の訴を提起することはできない。
認知の確定判決がある場合に第三者は認知無効の訴を提起できるか
人事訴訟法27条,人事訴訟法32条1項,人事訴訟法18条1項,民法786条
判旨
死後認知の訴えにおいて勝訴判決が確定した場合、人事訴訟法の規定によりその判決は第三者に対しても効力を有する(対世効)。したがって、第三者が確定判決と反対の事実を主張して認知無効の訴えを提起することは許されない。
問題の所在(論点)
死後認知の訴えにより認知を認める判決が確定した場合、その訴訟の当事者ではない第三者が、当該認知の無効を主張して訴えを提起することが許されるか(確定判決の対世効の有無と限界)。
規範
認知の訴え(死後認知を含む)について言い渡された判決は、正当な当事者間に確定している以上、人事訴訟法(当時の人訴法32条1項、18条1項)の明文規定に基づき、第三者に対してもその効力を有する(対世効)。この判決の性質が給付の訴えか形成の訴えかに関わらず、確定判決がある以上、再審の手続きによらない限り、第三者が反対の事実を主張して認知の効力を争うことはできない。
重要事実
被上告人Bは、亡E(昭和22年死亡)との親子関係を求めて検事正を相手方に死後認知の訴えを提起し、昭和24年に勝訴判決を得て、同判決は確定した。これに対し、第三者である上告人が、右判決の反対事実を主張して認知無効の訴えを提起したものである。
あてはめ
本件では、被上告人が検事正を相手に提起した死後認知の訴えにおいて、被上告人が亡Eの子であることを認める判決が既に言い渡され、確定している。人事訴訟法上の規定によれば、この確定判決は第三者に対しても効力を有するものである。したがって、第三者である上告人が本件判決の既判力(対世効)を無視して反対の事実を主張することは、再審の手続きによる場合を除き認められない。原審が死後認知の訴えを形成の訴えと解した点については、その当否を判断するまでもなく、対世効の規定により上告人の請求は排斥されるべきである。
結論
上告人の認知無効の請求は許容されない。確定した認知判決には第三者に対する効力(対世効)があるため、反対事実を主張する訴えは不適法または理由がない。
実務上の射程
人事訴訟における確定判決の対世効(人事訴訟法24条1項参照)を端的に示した判例である。答案上では、身分関係の安定という観点から、一旦確定した判決の効力を第三者が争うことの制限を論じる際に活用する。特に、死後認知のように検察官を被告とする訴訟であっても、その確定判決が一般第三者を拘束することを明示する際に有用である。
事件番号: 昭和62(オ)1568 / 裁判年月日: 平成元年4月6日 / 結論: 棄却
認知者が死亡した後でも、被認知者は、検察官を相手方として、認知無効の訴えを提起することができる。
事件番号: 平成25(受)442 / 裁判年月日: 平成26年3月28日 / 結論: 棄却
認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができ,この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならない。