被裏書人欄のおよび裏書の日附欄白地の手形所持人は、右白地を補充しないで権利を行使できる。
被裏書人欄の補充は権利行使のため必要か
手形法13条2項,手形法16条1項
判旨
手形の裏書において、被裏書人の記載および裏書の日付を欠く場合であっても、所持人はこれらの白地を補充することなく権利を行使することができる。
問題の所在(論点)
被裏書人が指定されず、かつ日付の記載もない裏書(白地式裏書)がなされた手形について、所持人が白地を補充することなく権利を行使することが認められるか。
規範
手形の裏書は、被裏書人を指定せずに(白地式)行うことが可能であり、かつ裏書の日付の記載を要しない(手形法13条、77条1項)。この場合、所持人は自己の氏名等をもって被裏書人の白地を補充せず、また裏書の日付を補充することなく、そのままの状態で権利を行使することが認められる。
重要事実
上告人らは、本件手形の裏書において被裏書人の指定および裏書の日付が欠けていることを理由に、被上告人の権利行使を否定すべき旨を主張して上告した。原審は、証拠に基づき適法な手形呈示の事実を認定していたが、上告人らは裏書の形式的要件の欠落を捉えて、白地補充なしに権利行使を行うことはできないと争った。
あてはめ
手形法13条は被裏書人を指定しない裏書を有効と認めており、同法77条1項により約束手形にも準用される。また、裏書に日付の記載は要求されていない。本件においても、被裏書人の白地補充や日付の追記は権利行使の前提条件ではない。したがって、被上告人が白地を補充しないまま権利を主張し、手形を呈示したことは、手形法上の正当な権利行使に該当するといえる。
結論
被裏書人および日付が白地の裏書であっても、所持人はこれらを補充せずに権利を行使できる。したがって、上告人らの主張は採用できず、上告は棄却される。
実務上の射程
白地式裏書の効力と権利行使方法を確認した基本判例である。司法試験等の答案上では、裏書の連続を判断する際、被裏書人の記載を欠く白地式裏書が存在しても、次位の裏書人が署名していれば裏書の連続が認められる(手形法16条1項後段)という論理の基礎として用いる。また、日付の欠落が裏書の有効性に影響しないことを端的に示す際にも有用である。
事件番号: 昭和37(オ)1154 / 裁判年月日: 昭和38年5月21日 / 結論: 棄却
手形法第一六条第一項にいう裏書の連続は、その形式によりこれを判定すれば足り、裏書が真正なものかどうかは問うところではない。