白地式裏書手形の所持人が手形上の権利の行使するには、必ずしも自己を被裏書人として記載することを要しない。
白地式裏書手形の所持人の手形上の権利の行使と白地補充の要否
手形法16条1項
判旨
白地式裏書による手形の所持人が手形上の権利を行使するにあたり、必ずしも自己を被裏書人として記載する必要はない。
問題の所在(論点)
白地式裏書による手形の所持人が手形上の権利を行使する際、手形法14条2項1号に基づき自己を被裏書人として記載(補充)することが、権利行使の有効要件となるか。
規範
白地式裏書(手形法13条2項)が付された手形の所持人は、手形法14条2項1号に基づき、自己または他人の名称を被裏書人として記入することができるが、権利行使にあたってこの補充は必須ではない。所持人が白地のまま手形を提示し、または提訴して権利を主張することは、手形法上の形式的資格(手形法16条1項)に基づく適法な権利行使として認められる。
重要事実
白地式裏書によって手形を取得した所持人が、被裏書人の欄を補充しないまま(自己の名称を記載しないまま)、手形上の権利を行使した事案。上告人は、手形権利の行使には自己を被裏書人として記載することが必要であると主張し、原審の判断を争った。
あてはめ
手形法は、白地式裏書の所持人に対し、被裏書人を補充して記名式裏書とする権利(14条2項1号)を認めているが、これは権利行使の前提条件として義務付けられたものではない。白地式裏書が連続している場合、所持人は手形を占有している事実のみで適法な所持人と推定される(16条1項)。したがって、自己の名前を被裏書人欄に書き込むという形式的な手続を経ずとも、手形を提示して支払を請求し、あるいは訴訟を提起することは、手形制度の流通性・簡易性に照らし正当なものといえる。
結論
白地式裏書による手形の所持人は、自己を被裏書人として記載することなく、手形上の権利を行使できる。
実務上の射程
手形法上の形式的資格に関する基本判例である。答案上は、裏書の連続(16条1項)を確認する文脈で、白地式裏書の所持人が補充なしに請求可能であることの根拠として用いる。実務上も、権利行使の直前にあわてて補充する必要がないことを確定させた意義がある。
事件番号: 昭和36(オ)1108 / 裁判年月日: 昭和37年4月6日 / 結論: 棄却
被裏書人欄のおよび裏書の日附欄白地の手形所持人は、右白地を補充しないで権利を行使できる。