組合代表者が約束手形用紙の振出人欄に当該組合の印を押捺しただけで、記名その他の手形記載事項全部を空白としたまま、これを受取人に交付した場合でも、右空白部分の補充を受取人に委託する意思であるときは、白地手形が振り出されたものとするのが相当である。
白地手形の振出と認められた事例
手形法10条
判旨
手形を裏書譲渡した者がその返還を受け現にこれを所持している場合、裏書の連続の成否にかかわらず、当該所持人は手形上の権利を行使することができる。
問題の所在(論点)
手形を裏書譲渡した後に返還を受けた所持人が、裏書の連続を欠く状態であっても、振出人に対して手形上の権利を行使できるか。
規範
手形法16条1項の裏書の連続は、所持人の権利行使を容易にするための資格授与的効力の要件であるが、実質的な権利者が手形を占有している場合には、裏書の連続を欠いていても権利行使は認められる。
重要事実
上告人(振出人)は、売掛金の支払いのために白地手形を訴外E社に交付し、E社はこれを被上告人に譲渡した。被上告人は、取立委任のためにF銀行に裏書譲渡したが、最終的にF銀行から当該手形の返還を受け、現にこれを所持していた。しかし、手形面上では裏書の連続に不備がある状態(あるいは不備が主張される状態)であった。
あてはめ
被上告人は、訴外E社から適法に手形上の権利を譲り受けている。その後、取立委任のために一旦はF銀行へ裏書譲渡を行っているものの、結局は当該手形の返還を受け、現在は実質的な権利者として手形を現実に占有している。このような実質的な権利関係が認められる状況においては、形式的な裏書の連続の有無を問わず、所持人としての権利行使を肯定するのが相当である。
結論
被上告人は、裏書の連続の成否にかかわらず、手形上の権利を行使しうる。
実務上の射程
裏書の連続(手形法16条1項)が権利推定の効力を生じさせる「形式的資格」であるのに対し、本判決は実質的権利者が占有を回復した場合の「実質的資格」による権利行使を認めたものである。答案上では、裏書の連続が途切れているケースにおいて、実質的な権利移転の事実を立証することで権利行使を認める際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和34(オ)1101 / 裁判年月日: 昭和36年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】隠れた取立委任裏書がなされた手形が支払拒絶により裏書人に返還された場合、当該裏書を抹消せずに第三者へ裏書譲渡しても、譲受人は実質的権利者として権利を行使できる。 第1 事案の概要:株式会社Dは、手形金額の取立のためE本店に対し白地裏書を行い、その後F銀行、G銀行へと順次裏書がなされたが、これらはい…