判旨
国家賠償法施行前になされた行政庁の違法な処分に基づく損害については、同法に基づき賠償を求めることはできない。
問題の所在(論点)
国家賠償法施行前になされた行政処分によって損害が生じた場合、同法に基づき国家賠償責任を追及することができるか(法の不遡及の原則と国家賠償法の適用範囲)。
規範
国家賠償法は、その施行前に生じた違法な公権力の行使に基づく損害賠償責任について、遡及的に適用されるものではない。したがって、同法施行前の処分による損害については、同法に基づく賠償請求の対象外となる。
重要事実
上告人は、国家賠償法施行前に行われた特許局長官による処分が特許権を侵害する違法なものであると主張し、国に対してその損害の賠償を求めて訴えを提起した。
あてはめ
本件における特許局長官の処分は、国家賠償法の施行前になされたものである。法は特段の定めがない限り、施行前の事象に遡及して適用されない。原審が説示するように、同法施行前の違法処分に起因する損害は、同法の適用対象に含まれないと解するのが相当である。したがって、本件処分に国家賠償法を適用して賠償を求めることはできない。
結論
国家賠償法施行前の違法処分に基づく損害については、同法に基づき賠償を求めることはできない。
実務上の射程
国家賠償法の施行(昭和22年10月27日)を境とした時点的限界を示す判例である。現代の司法試験実務では、法の不遡及という一般的な法原則の確認、あるいは経過措置の解釈における基本的視点として位置づけられる。
事件番号: 昭和24(オ)268 / 裁判年月日: 昭和25年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国家賠償法施行前の公権力の行使に起因する損害について、国は原則として賠償責任を負わない。公権力の行使には当然には民法が適用されず、旧憲法下において国の賠償責任を認めた一般法が存在しないためである。 第1 事案の概要:上告人の所有する家屋は、昭和20年7月に疎開対象として国に買収された。上告人は和歌…