国家賠償法附則六項に則り、日本国憲法施行前における国の公務員の違法な公権力の行使による不法行為については国家賠償法の適用がなく国がその損害につき賠償責任を負うべきものではない。
国家賠償法附則六項と日本国憲法施行前における公務員の不法行為
国家賠償法附則6項
判旨
日本国憲法施行前における国の公務員の違法な公権力の行使による不法行為については、国家賠償法附則6項に基づき同法の適用はなく、国は賠償責任を負わない。
問題の所在(論点)
日本国憲法施行前に行われた公務員の違法な公権力の行使について、国家賠償法に基づく損害賠償請求が可能か(国家賠償法附則6項の解釈)。
規範
国家賠償法附則6項に基づき、日本国憲法施行前(1947年5月2日以前)に発生した国の公務員による違法な公権力の行使(不法行為)については、国家賠償法の規定は適用されない。したがって、当該行為に基づき国が賠償責任を負うことはない。
重要事実
上告人は、日本国憲法施行前に行われた国の公務員の公権力行使に起因する不法行為を理由として、国に対して損害賠償を請求した。原審は、国家賠償法附則6項を理由に国の賠償責任を否定したため、上告人がこれを不服として最高裁に上告した事案である。
あてはめ
本件における公務員の行為は、日本国憲法施行前の不法行為である。国家賠償法附則6項は、同法施行前の行為について同法の適用を排除している。したがって、実体法上の根拠を国家賠償法に求める以上、同法の適用がない以上は、国がその損害について賠償責任を負うべき法的根拠を欠くこととなる。
結論
国は賠償責任を負わない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
憲法施行前の国家の不法行為責任の有無が問われる事案において、国家賠償法の不遡及原則(附則6項)を確認する際に用いる。明治憲法下における官吏の不法行為についての国の責任(公権力作用に関する無答責の原則)との関係を検討する際の出発点となる判例である。
事件番号: 昭和46(オ)665 / 裁判年月日: 昭和47年3月21日 / 結論: 棄却
国家賠償法一条の解釈として公務員個人が賠償責任を負わないものとしても、これによつて被害者たる原告はなんらの不利益を被るものでもないから、同人は右規定が憲法一四条に違反する旨を主張する利益を有しない。