続行期日における裁判官の更迭によつて弁論が更新された場合には、それ以前における裁判官の更迭についての弁論の更新がなくても、そのかしは補正される。
弁論更新の補正
民訴法187条1項,民訴法187条2項
判旨
確認の訴えにおける確認の利益は、被告が原告の所有権を争っていることが客観的に明らかであれば認められ、裁判所の構成に変更があった場合でも、その後の口頭弁論で弁論の更新がなされれば、それ以前の手続上の瑕疵は補正される。
問題の所在(論点)
(1)被告が権利関係を「不知」と争っている場合に、確認の利益が認められるか。(2)裁判官の交代に伴う弁論更新手続に瑕疵があった場合、その後の手続によって補正されるか。
規範
確認の利益は、原告の権利または法的地位に不安・危険が存在し、確認判決を得ることがその不安・危険を除去するために有効かつ適切である場合に認められる。また、裁判官の交代があった場合に法律が要求する弁論の更新(民事訴訟法249条2項参照)は、交代後の適式な更新手続によって、それ以前に生じた更新手続の懈怠という手続上の瑕疵を治癒させる効果を有する。
重要事実
被上告人(原告)が上告人(被告)に対し、係争地域およびその地上の立木の所有権確認を求めた事案。上告人は、訴訟において当該土地が被上告人の所有であることを「不知」と回答し、検証の際にも独自の主張を展開していた。また、原審の審理過程で裁判所の構成に変更があったが、後の口頭弁論期日において弁論の更新手続が行われていた。
あてはめ
(1)上告人が訴訟上「不知」と回答したことや検証時の主張を、確認の利益の直接の根拠とすることは失当であるが、記録上の他の資料から上告人が被上告人の所有権を争っている事実は明らかである。したがって、被上告人の所有権には不安が存在し、確認判決を得る必要性がある。(2)原審において昭和33年3月26日以降、裁判所の構成に変動がない状態で適法な弁論更新が行われている。これにより、仮にそれ以前の期日に更新手続の懈怠があったとしても、その瑕疵は当然に補正されたものと解すべきである。
結論
確認の利益の存在を肯定し、かつ手続違背の主張を退けた原審の判断は正当であるとして、上告を棄却した。
実務上の射程
訴訟において被告が「不知」と陳述した場合でも、諸般の事情から権利を争う姿勢が明白であれば確認の利益は否定されない。また、弁論更新については、判決を下す裁判官がそれまでの審理内容を把握する機会を確保できれば足りるため、最終的な判決前の更新手続による瑕疵の治癒を広く認める実務指針となる。
事件番号: 昭和37(オ)745 / 裁判年月日: 昭和39年2月6日 / 結論: 棄却
立木法の適用を受けない立木の買受人がこれに明認方法を施さないうちにこれを伐採した場合、右買受人は、当然伐木の所有者となるけれども、立木当時既に明認方法の欠点を主張しうべき正当の利益を有した第三者に対する関係においては、伐木所有権をもつて対抗できない。
事件番号: 昭和35(オ)900 / 裁判年月日: 昭和37年8月3日 / 結論: 棄却
山林を買受け、未登記のままこれに檜等を植栽した者が、その後特に地上立木を除外することなくいわゆる二重売買を受け、所有権移転登記を経た者に対し、その植栽した立木の所有権を主張するためにはこれを公示する対抗要件を必要とする。
事件番号: 昭和41(オ)364 / 裁判年月日: 昭和46年3月30日 / 結論: 破棄差戻
一定範囲の山林の時効取得を認めるにあたり、甲地所有者が係争地に杉苗を植えその育成に努めて来たと認定し、他方、その後乙地所有者が係争地の植え残された一部に杉苗を植え、刈払をし、係争地内から桑葉を採取したと認定しながら、特段の理由を示さず、甲地所有者が係争地の占有を継続したと判断したときは、理由不備の違法がある。