判旨
当事者が度重なる口頭弁論期日に不出頭であり、かつ期日変更の申請に客観的な疎明資料が欠けている場合、裁判所が申請を却下し弁論を終結させる訴訟指揮は適法である。
問題の所在(論点)
当事者が病気等を理由に期日変更を申請している状況において、裁判所が申請を却下して弁論を終結させることが、適正な裁判を受ける権利の侵害や訴訟指揮権の濫用(民事訴訟法上の違法)に該当するか。
規範
裁判所が期日の変更申請を認めるか否かは、訴訟の進行状況や当事者の不出頭の理由の合理性を考慮した裁判所の合理的な裁量に委ねられる。当事者側に適正な訴訟遂行の意思や正当な遅延理由が認められない場合には、弁論を終結し判決を行うことが許容される。
重要事実
上告人らの訴訟代理人が辞任した後、控訴審において計4回の口頭弁論期日が指定されたが、上告人らはいずれも欠席した。第1回目の期日は無断欠席であり、その後の期日については変更申請書が提出されたものの、添付された診断書は特定の1名分のみで、かつ「心臓神経症により休養を要する」という同一内容を繰り返すのみであった。他の控訴人についての変更理由は不明なままであったため、原審は5回目の期日(9月5日)において変更申請を却下し、弁論を終結させた。
あてはめ
本件では、代理人辞任後から長期間(約7ヶ月間)にわたり、上告人らは一度も期日に出頭していない。また、提出された診断書も形式的で、当事者全員の不出頭を正当化するに足りる具体的な「期日の変更を必要とする事由」が明らかにされていない。このような訴訟の経過に鑑みれば、原審が期日変更申請を却下し弁論を終結した処置は、訴訟遅延を防止するための合理的な訴訟指揮の範囲内にあるといえる。
結論
原審の訴訟指揮に違法はなく、期日変更申請の却下および弁論の終結は適法である。
実務上の射程
訴訟遅延を目的とした濫用的な期日変更申請に対する、裁判所の裁量的な訴訟指揮権(民訴法93条、152条等)の限界を示す事例である。答案上は、当事者の手続保障と迅速な裁判の要請との比較衡量の文脈で使用できる。
事件番号: 昭和32(オ)830 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者の疾病や代理人の辞任を理由とする期日変更の申立てについて、疾病が真に出頭不能な程度であることを推知させる資料がなく、かつ期日までに対処可能な時間的猶予がある場合には、裁判所が申立てを却下して不出頭のまま結審しても適法である。 第1 事案の概要:上告人の訴訟代理人は、指定された口頭弁論期日の2…
事件番号: 昭和32(オ)1106 / 裁判年月日: 昭和35年6月13日 / 結論: 却下
民訴法第二三八条の期間徒過により上告取下とみなされた後において、当事者が同法第一五九条に基き追完できると主張して口頭弁論期日指定の申立をした場合、右申立は決定をもつて却下すべきである。