判旨
代表者が病気による期日変更を繰り返す場合、訴訟代理人の選任等により攻撃防御を尽くすべきであり、裁判所が都度期日を変更して訴訟を遅延させる必要はない。
問題の所在(論点)
当事者の代表者が病気のために期日への出頭を繰り返し拒んでいる場合に、裁判所が期日変更申請を却下して弁論を終結させることは、審理不尽や手続規定違反の違法を構成するか。
規範
期日の指定及び変更(民事訴訟法93条1項・3項)に関し、当事者(法人の代表者等)が病気等の事由で出頭できない場合であっても、それが反復継続されるときは、裁判所は、訴訟遅延を避けるべく期日変更を許可しないことができる。この場合、当事者側は訴訟代理人を選任するなどして攻撃防御の方法を尽くすべき責務を負う。
重要事実
上告人(組合)の代表者Dは、高血圧症を理由として医師の診断書を添付した期日延期願を計5回にわたり提出した。原審は、第1回から第4回までの申請については期日変更を認めたが、第5回の申請についてはこれを許さず、口頭弁論を開いて結了した。なお、Dは途中で代表理事を兼任し、一度は口頭弁論に出頭していたという経緯もあった。
あてはめ
本件では、代表者Dが5回にわたって病気を理由に期日変更を求めており、既に4回の変更が認められていた。このような場合、代表者個人が出頭できないとしても、法人としては訴訟代理人を選任する等の措置を講じて訴訟を進行させるべきである。裁判所は、代表者の出障があるたびに期日を変更して訴訟を不当に遅延させる義務を負わない。したがって、5回目の申請を却下し弁論を終結させた原審の措置に違法はない。
結論
原審が期日変更を許さずに弁論を終結したことに違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判所の期日変更に関する裁量権を認めた判例。答案上は、相手方の訴訟遅延策や不誠実な訴訟追行に対する裁判所の訴訟指揮権の正当化として引用できる。特に訴訟代理人を選任可能な状況にある法人において、代表者の体調不良を理由とする延期申請が限界を迎える基準を示す。
事件番号: 昭和33(オ)630 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟代理人の病気により期日への出頭が困難であっても、当事者本人や他の代理人による防御の余地があり、かつ証人尋問の不実施が当事者側の手続懈怠によるものである場合、期日変更をせず結審した判断に違法はない。 第1 事案の概要:上告人らの訴訟代理人が病気のため、口頭弁論期日に出頭することが困難な状況にあっ…