準備手続を経ない口頭弁論期日の変更申立は、顕著な事由が存するときは、相手方の同意がなくても、これを許さなければならない。
準備手続を経ない口頭弁論期日の変更。
民訴法152条
判旨
当事者から口頭弁論期日の変更申立てがあった場合でも、診断書による加療期間が既に経過しており、当該期日に変更申立てがないなどの事情があれば、期日変更を認めず弁論を終結させることは適法である。
問題の所在(論点)
当事者が病気等を理由に期日延期を求めている状況下で、裁判所が期日を変更せずに弁論を終結させることが、期日変更の要件である「顕著な事由」(民事訴訟法93条3項参照)の判断において違法とならないか。
規範
準備手続を経ない口頭弁論期日の変更は、相手方の同意がない場合であっても、「顕著なる事由」が存するときはこれを許さなければならない。しかし、過去の期日変更の経緯や提出された証拠(診断書等)に照らし、指定された期日に出頭できない客観的な支障が認められない場合には、期日変更を認めないことが正当化される。
重要事実
上告人(被告)は、第1回期日に正当な理由なく欠席し、第2回期日も呼出未了で延期となった。その後、上告人は糖尿病および肺結核で約3週間の安静を要する旨の診断書(12月10日付)を提出し、翌年3月までの期日延期を求めた。裁判所はこれを受け、期日を1月23日、さらに2月13日へと変更・指定した。しかし、上告人は当該2月13日の第3回期日に、新たな変更申立てを行うことなく欠席したため、裁判所は弁論を終結させた。
あてはめ
本件では、上告人が提出した診断書による安静加療期間は昭和38年12月末までであり、第3回期日である昭和39年2月13日時点では既に経過していた。また、上告人は当該期日に際して事前に何ら期日変更の申立てを行っていない。これらの経過に照らせば、当該期日に出頭できないことについて「顕著な事由」があるとは認められない。したがって、裁判所が期日を変更せず弁論を実施・終結した判断は正当であるといえる。
結論
期日変更を認めず弁論を終結させた原審の措置に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
当事者の欠席が続く場面で、裁判所が結審に踏み切る際の適法性判断の指標となる。特に、診断書等の疎明資料がある場合でも、その有効期間が経過していることや、当該期日に直接の変更申立てがないことが、実務上「顕著な事由」を否定する重要な考慮要素となる。
事件番号: 昭和33(オ)630 / 裁判年月日: 昭和35年10月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟代理人の病気により期日への出頭が困難であっても、当事者本人や他の代理人による防御の余地があり、かつ証人尋問の不実施が当事者側の手続懈怠によるものである場合、期日変更をせず結審した判断に違法はない。 第1 事案の概要:上告人らの訴訟代理人が病気のため、口頭弁論期日に出頭することが困難な状況にあっ…