判旨
当事者が診断書を添えて口頭弁論期日の変更を申請しても、過去の期日においても同様の申請を繰り返し、一度も出頭していない等の事情がある場合には、顕著な事由があるとは認められず、裁判所が申請を却下することは正当である。
問題の所在(論点)
病気療養を理由とする診断書の提出を伴う期日変更申請に対し、過去の不出頭の経緯を理由にこれを却下することが、民事訴訟法上の期日変更の要件(顕著な事由)との関係で許容されるか。
規範
期日の変更は、「顕著な事由」がある場合に限り認められる(民事訴訟法93条3項)。病気療養を理由とする申請であっても、訴訟遅延を目的とする等、訴訟上の信義則に反する事情や合理性を欠く経緯がある場合には、当該要件を満たさない。
重要事実
上告人Aは、昭和34年1月27日の口頭弁論期日に際し、診断書を添えて期日変更を申請した。しかし、Aはそれ以前にも第1審で4回、第2審で2回、同様の手法で期日変更を申請しており、第1審・第2審を通じて一度も口頭弁論期日に出頭していなかった。
あてはめ
上告人は形式的には診断書を提出しているものの、第1審から通じて計6回もの期日変更申請を繰り返しており、一度も出頭していない。このような訴訟態度は、真に病気により出頭不能であるというよりは、訴訟の進行を不当に遅延させるものと評価せざるを得ない。したがって、本件申請には期日を変更すべき「顕著な事由」が存しないといえる。
結論
原審が期日変更申請を容れなかった措置は正当であり、手続上の違法はない。
実務上の射程
診断書の提出という客観的な疎明資料がある場合でも、過去の訴訟追行の状況(変更申請の回数や出頭歴)から、権利の濫用や訴訟遅延目的が疑われる場合には、裁判所は「顕著な事由」を否定できる。実務上、期日変更の裁量権行使の限界を示す事例として機能する。
事件番号: 昭和32(オ)1141 / 裁判年月日: 昭和35年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】代表者が病気による期日変更を繰り返す場合、訴訟代理人の選任等により攻撃防御を尽くすべきであり、裁判所が都度期日を変更して訴訟を遅延させる必要はない。 第1 事案の概要:上告人(組合)の代表者Dは、高血圧症を理由として医師の診断書を添付した期日延期願を計5回にわたり提出した。原審は、第1回から第4回…