準備手続を経ない口頭弁論における最初の期日の変更は、相手方の同意がなく、しかも、ただ当日着の電報で「急病の為延期たのむ」とした変更の申請がされただけで、出頭不能の程度の病気であつたか否かについて何等の疎明方法も提出されなかつた場合には、期日の変更について「顕著な事由」があるといえないから、右期日変更の申請を容れないで、結審しても、違法ではない。
最初の口頭弁論期日の変更が許されないとされた事例。
民訴法152条5項,民訴規則13条
判旨
準備手続を経ない口頭弁論の第一回期日において、相手方の合意がない場合の期日変更は「顕著なる事由」を要し、疎明のない急病の主張のみではこれを認められない。
問題の所在(論点)
当事者の合意がなく、かつ疎明資料を伴わない急病を理由とする第一回口頭弁論期日の変更申請を却下し、そのまま弁論を終結することが、審理不尽や憲法32条(裁判を受ける権利)に違反するか。
規範
準備手続を経ない口頭弁論における最初の期日の変更は、当事者の合意がない限り、民事訴訟法上の「顕著なる事由」(現行法93条3項参照)がある場合に限り許される。この「顕著なる事由」の存否については、単なる申請だけでなく、客観的に出頭不能の程度を裏付ける疎明資料が提供されることを要する。
重要事実
控訴人(上告人)は、原審の第一回口頭弁論期日当日、電報により「急病の為延期たのむ」として期日変更の申請を行った。しかし、相手方の同意はなく、上告人は真に出頭不能の程度の病気であったか否かについて、診断書等の何ら疎明方法をも提出していなかった。原審は申請を容れず、上告人不出頭のまま弁論を終結し、上告人敗訴の判決を言い渡した。
あてはめ
本件における期日変更の申請は、相手方の同意を得ておらず、かつ「急病」という主張のみで、その程度が真に出頭不能を強いるものであるかを確認し得る疎明が一切なされていない。このような場合、裁判所が期日の変更を認めるべき「顕著なる事由」があるとはいえない。したがって、裁判所が申請を容れずに結審したとしても、適法な手続の範囲内であり、憲法違反等の違法も存在しない。
結論
疎明を欠く急病による期日変更申請を却下し、不出頭のまま結審した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
当事者の手続保障と迅速な裁判の要請の調整を図る規範である。第一回期日は「擬制陳述」が認められる(民訴法158条)が、控訴審のように続審制であっても最初の期日の重要性は高く、疎明なき延期申請を安易に認めない実務の指針となる。答案上は、訴訟手続の違法を論じる際の判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和24(オ)251 / 裁判年月日: 昭和27年5月6日 / 結論: 棄却
病気で出頭できないことを理由として一審以来一度も口頭弁論期日に出頭しなかつた一方の当事者が、同一の理由で期日の変更を申請したのに対し、裁判所がこれを容れずその不出頭のまま弁論を終結しても違法ではない。