担保ないし代物弁済予約に供された物件の価額が被担保債権額を、上廻る場合でも債権者が債務者の無思慮、窮迫に乗じて暴利を図つたような事情がないかぎり、直ちに公序良俗に反するとはいえない。
抵当権設定および代物弁済予約が公序良俗に反しないとされた事例
民法90条,民法369条,民法482条
判旨
債務の担保としてなされた抵当権設定及び代物弁済予約において、目的物の価格が債権額を大幅に上回る場合であっても、債権者が債務者の無思慮または窮迫に乗じて暴利を図ったという事情が認められない限り、直ちに公序良俗に違反するとはいえない。
問題の所在(論点)
債権担保を目的とする代物弁済予約において、目的物の価格が債権額を著しく超過している場合、それだけで民法90条の公序良俗違反として無効となるか。
規範
代物弁済予約等の契約が公序良俗(民法90条)に反して無効となるか否かは、単に目的物の価格と債権額との間に著しい不均衡が存在するということのみではなく、債権者が債務者の無思慮あるいは窮迫に乗じて不当な利益(暴利)を図ったという主観的・客観的態様を総合して判断されるべきである。
重要事実
債務者である上告人A1(またはその代理人A2)は、債権者である被上告人に対し、債権の担保として本件家屋に抵当権を設定し、併せて代物弁済予約を締結した。当時、本件家屋の価格は800万円から1000万円を超えると評価されていた。これに対し、上告人らは、当該予約時の価格が債権額に比して著しく高額であり、暴利行為として公序良俗に反し無効であると主張した。
あてはめ
仮に予約当時における本件家屋の価格が上告人らの主張するように800万円以上であったとしても、被上告人が上告人らの「無思慮或は窮迫に乗じて暴利を図ったというような事情」を認めるべき資料は存在しない。契約締結に至る経緯や態様において、債務者の困窮につけ込んで不当な利益を得ようとする不当な目的が認められない以上、目的物と債権額の価格差のみをもって直ちに公序良俗違反と解することはできない。
結論
本件抵当権設定及び代物弁済予約をなしたことは、直ちに公序良俗に違反するものとはいえない。
実務上の射程
暴利行為の成否において、価格の著しい不均衡という客観的要件だけでなく、相手方の窮迫・無思慮・経験不足を利用するという主観的要件(利用意思)の重要性を強調する。もっとも、現代の実務(民法482条、譲渡担保等)では清算金支払義務により調整されるため、本判決の枠組みは、清算義務を免れる特約がある場合や、著しい暴利性が問題となる事案での公序良俗判断の基準として活用すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)1145 / 裁判年月日: 昭和36年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃料の催告が公序良俗に反する暴利行為に該当するか否かは、債務者の窮迫に乗じたものといえるか等の諸事情を総合して判断すべきであり、単に長期間の賃料取得を目的とするのみでは直ちに違法とはならない。 第1 事案の概要:上告人(賃借人)は、被上告人(賃貸人)が行った本件賃料の催告が、上告人の窮迫に乗じた暴…