判旨
暴利行為が民法90条の公序良俗に反して無効となるかは、相手方の窮迫・軽卒・無智に乗じたか否か等の諸事情を総合して判断されるべきであり、単に事実関係を争うのみでは公序良俗違反を基礎付けられない。
問題の所在(論点)
当事者間の約定が、一方の窮迫、軽卒、無智等に乗じた暴利行為として、民法90条の公序良俗に反し無効となるか。
規範
法律行為が民法90条の公序良俗に反し無効とされるべき暴利行為に該当するか否かは、当該約定が締結された際の具体的状況、すなわち当事者の一方が相手方の窮迫、軽卒または無智、経験不足に乗じて著しく不相当な利益を得る目的であったか否か等の事実関係に基づき判断される。
重要事実
上告人と訴外Dとの間で締結された約定について、上告人は当該約定が自らの窮迫、軽卒、無智に乗じて締結されたものであると主張し、公序良俗に反して無効であると訴えた。しかし、原審(控訴審)は証拠に基づき、そのような事実関係を認めず、約定を有効と判断した。
あてはめ
本件において、上告人は自己の窮迫等の事情を主張するが、原審が適法に確定した事実関係によれば、当該約定が上告人の窮迫、軽卒、無智、経験不足等に乗じて締結された事実は認められない。したがって、上告人の主張は原審が認定した事実と相容れないものであり、本件約定が公序良俗に反すると評価すべき具体的な事情は存在しないといえる。
結論
本件約定は公序良俗に反せず有効であり、上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
公序良俗(90条)のうち暴利行為を主張する際の、事実認定の重要性を示す。答案上では、暴利行為の要件として「給付と反対給付の著しい不均衡」に加え、主観的態様(窮迫等への乗じ)が必要とされる点に留意して論述を構成する際の根拠となる。
事件番号: 昭和32(オ)560 / 裁判年月日: 昭和34年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】譲渡担保契約や代物弁済契約が公序良俗に反するか否かは、貸金額、弁済期、利息、担保物件の価格等の諸事情を総合的に考慮して判断されるべきであり、本件の貸金条件と担保価格の差のみでは直ちに暴利行為として無効とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人から20万円を借受ける際、月利8分、弁済期を6…