判旨
代物弁済契約が公序良俗に反するか、または債権者による権利の行使が信義誠実の原則に反し権利濫用に該当するかは、契約締結の経緯や諸般の事情を総合的に考慮して判断されるべきであり、本件においてはそれらに該当しない。
問題の所在(論点)
本件代物弁済契約が民法90条の公序良俗に反するか。また、被上告人による契約に基づく権利の主張が民法1条2項の信義則違反または同条3項の権利濫用に該当するか。
規範
代物弁済契約(民法482条)が公序良俗(民法90条)に反して無効となるか、あるいは債権者による権利行使が信義則(民法1条2項)違反や権利濫用(同条3項)として許されないかは、契約の内容、締結に至る経緯、当事者間の公平性等の諸般の事情を総合して判断する。
重要事実
上告人らと被上告人との間で代物弁済契約が締結された。上告人らは、当該契約の内容が公序良俗に反すること、または被上告人による権利行使が信義則に反し、権利濫用に当たることを主張して争った(具体的な債務額や代物弁済の対象物の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
原審が確定した事実関係によれば、本件代物弁済契約の締結過程や内容において、社会妥当性を欠くような特段の事情は認められない。したがって、公序良俗に反するとまでは言えず、また被上告人が契約上の権利を主張することも、信義に反して自己の利益のみを追求するものとは評価できないため、権利濫用にも当たらない。
結論
本件代物弁済契約は公序良俗に反せず有効であり、被上告人の権利行使も信義則違反や権利濫用には当たらない。
実務上の射程
契約の有効性や権利行使の限界が争われる場面で、民法1条や90条を適用する際の一般論として参照できる。ただし、本判決は事実認定に基づく判断を是認する簡潔な内容であるため、答案上では具体的な具体的事実を各条項の趣旨に照らして評価する際の姿勢を示すにとどまる。
事件番号: 昭和30(オ)805 / 裁判年月日: 昭和33年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】滞納処分としての随意契約による売却は、見積価格が固定資産税基準価格と差異があることや、公売手続の書類に一部真実でない記載がある等の事情があっても、直ちに公序良俗に反し無効とはならない。公売において買受申込人がなかった等の経緯がある場合には、当該随意契約による処分は適法であり、権利の濫用にも当たらな…