判旨
譲渡担保契約や代物弁済契約が公序良俗に反するか否かは、貸金額、弁済期、利息、担保物件の価格等の諸事情を総合的に考慮して判断されるべきであり、本件の貸金条件と担保価格の差のみでは直ちに暴利行為として無効とはならない。
問題の所在(論点)
貸金額と担保物件の価格に相当の開きがある譲渡担保契約や代物弁済契約が、民法90条の公序良俗に反する暴利行為として無効になるか。
規範
民法90条の公序良俗違反(暴利行為)の成否は、契約時の諸条件(貸金額、弁済期、利息、担保物件の価格等)を総合し、相手方の窮迫に乗じて著しく不相当な利益を得るなどの射倖的・不当な性質が認められるか否かにより判断する。
重要事実
上告人は、被上告人から20万円を借受ける際、月利8分、弁済期を6ヶ月後とする条件で譲渡担保契約を締結した。担保物件の当時の価格は、約32万2685円から66万8286円の間であった。上告人は、本契約が自らの窮迫に乗じて暴利をむさぼるものであり、公序良俗に反し無効であると主張した。
あてはめ
本件における貸金額20万円に対し、利息は月8分、担保物件の価格は最大でも貸金額の3倍強である約66万円程度にとどまっている。これらの事実関係を照らし合わせても、本契約が直ちに上告人の窮迫に乗じて暴利をむさぼろうとする著しく射倖的な契約であると断定することは困難である。したがって、契約内容が社会通念上許容される範囲を著しく逸脱しているとはいえない。
結論
本件譲渡担保契約等は公序良俗に反せず有効である。上告を棄却する。
実務上の射程
暴利行為の判断において、単なる担保価値と債権額の不均衡(対価的均衡の欠如)だけでなく、主観的態様(窮迫への乗託)や契約の射倖性を重視する。実務上は、清算金支払義務等の解釈により調整される余地があるため、90条無効の適用には慎重な判断を要することを示す事例である。
事件番号: 昭和33(オ)1000 / 裁判年月日: 昭和36年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴利行為が民法90条の公序良俗に反して無効となるかは、相手方の窮迫・軽卒・無智に乗じたか否か等の諸事情を総合して判断されるべきであり、単に事実関係を争うのみでは公序良俗違反を基礎付けられない。 第1 事案の概要:上告人と訴外Dとの間で締結された約定について、上告人は当該約定が自らの窮迫、軽卒、無智…