判旨
上告理由が原審の認定しない事実を前提とするものや、実質的に原審の適法な証拠取捨・事実認定を非難するにすぎない場合は、上告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
上告審において、原審の事実認定や証拠の取捨選択を不服として争うことが、有効な上告理由(民事訴訟法上の適法な不服申立て)として認められるか。
規範
上告審において、原審の証拠の取捨選択および事実認定が適法に行われている限り、それらを非難する主張や、原審が認定していない事実を前提とする主張は、適法な上告理由とはならない。
重要事実
上告人は、原判決の事実認定に違法があるとして上告を申し立てた。しかし、その主張の内容は、原審が認定した事実とは異なる事実を前提とするものや、原審が認定しなかった事実を前提として原判決を攻撃するものであった。また、憲法違反を主張しつつも、その実態は原審における証拠の取捨選択や事実認定の妥当性を争うものであった。
あてはめ
本件において、原審の証拠に基づく事実認定のプロセスには是認し得ない不合理な点は認められない。上告人の主張は、原審が認定した事実を否定し、あるいは認定されていない事実を勝手に前提とするものであり、論理的に原判決の法的判断を左右するものではない。また、憲法違反を名目としているが、その実質は裁判所の専権事項である証拠の評価や事実の認定を非難するに帰するものであり、独自の主観的な評価にすぎないといえる。
結論
本件上告は理由がなく、棄却を免れない。
実務上の射程
本判決は、事実認定の不服を実質的な内容とする上告が、上告理由として採用されないことを示した典型例である。司法試験の答案作成においては、事実認定が裁判所の専権事項(自由心証主義)に属することを前提に、それを争う主張がいかに法律上の上告理由になりにくいかを論じる際の根拠として機能する。
事件番号: 昭和28(オ)264 / 裁判年月日: 昭和29年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法令の解釈に関する重要な事項を含まないと判断される場合、上告は棄却される。 第1 事案の概要:本件は、上告人が原審の判断を不服として最高裁判所に上告を提起した事案である。判決文からは、具体的な争点となった基礎事実や下級審の判…
事件番号: 昭和30(オ)1004 / 裁判年月日: 昭和31年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審における証拠の取捨および事実認定に関する非難にとどまる場合は、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:上告人は原審の判決を不服として上告したが、その上告理由は、原審が行った証拠の取捨および事実の認定を非難する内容であった。 第2 問題の所在(論点):事実認定に関する不服申し…