判旨
後見人と被後見人との間の利益相反行為の有無は、行為の動機や実質的な利害関係ではなく、行為の態様から客観的に判断されるべきである。また、利益相反にあたらない行為や、適切な手続を経た追認は有効である。
問題の所在(論点)
1.後見人と被後見人との間の取引が利益相反行為(民法860条、826条)に該当するか否かの判断基準。2.一度行われた追認行為が有効となるための要件。
規範
民法860条が準用する826条の「利益相反行為」に該当するか否かは、行為の動機や結果等の実質を考慮せず、行為自体の外形から客観的に判断すべきである。また、無権代理行為等の瑕疵がある場合であっても、本人が行為の意味を理解し、その効果を自己に帰属させる意思で行う追認は有効である。
重要事実
被後見人であった上告人と、その後見人であった訴外Dとの間で行われた特定の取引について、上告人が利益相反行為にあたり無効であると主張した。また、当該行為について後日追認がなされていたが、その有効性も争点となった。なお、具体的な取引の内容や追認の時期等の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
本件において、上告人が主張する事実関係を前提としても、行為の外形から客観的にみて後見人と被後見人が法律上利害相反する関係にあったとはいえない。また、原審が認定した事実関係に基づけば、なされた追認は有効な手続としての要件を備えており、瑕疵を治癒させるに足りるものであると評価される。
結論
本件行為は利益相反行為には当たらず、また追認も有効であるため、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
利益相反の客観的説(外形説)を再確認するものであり、実務上は行為の形式面から判断の可否を検討すべきである。追認の有効性については事実認定に依拠する面が強いが、無権代理や利益相反の疑いがある事案での解決手法として位置づけられる。
事件番号: 昭和38(オ)1154 / 裁判年月日: 昭和39年7月24日 / 結論: その他
甲名義の所有権保存登記がなされた甲所有の建物について、二重に乙名義の所有権保存登記がなされ、次いで、甲名義の登記が不法に抹消された後に、丙が乙名義の登記に基づき右建物の所有権取得登記を経由した場合、丙は、甲名義の登記の抹消回復登記につき「登記上利害ノ関係ヲ有スル第三者」に当らない。
事件番号: 昭和31(オ)294 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】信託的に譲渡された権利を、受託者が信託の趣旨に反して第三者に売却した場合、特段の事情がない限り、当該権利は有効に第三者に移転する。 第1 事案の概要:訴外Dは、訴外EおよびFから本件立木に対する各共有持分権を信託的に譲り受けた。しかし、Dは信託の趣旨に反して、これらの共有持分権を被上告人(買主)に…
事件番号: 昭和30(オ)704 / 裁判年月日: 昭和32年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法826条にいう利益相反行為に該当するか否かは、行為の動機や実質的な利害関係ではなく、もっぱら行為の外形から判断すべきである。 第1 事案の概要:親権者である父Dが、未成年の子である上告人の代理人として、第三者Fとの間で本件不動産の売買契約(甲1号証)を締結した。この行為について、上告人側は、実…