甲一号証の「保証年限ハ炭鉱終了後三ケ年トス」との条項は、同号証記載の他の条項との関連、右保証の性質等を考察すれば、「炭鉱終了後の三年間に発生した鉱害について責任を負う」との趣旨に解すべく、原判決のように解するのは証拠の解釈を誤り、不当に事実を確定した違法があるというべきである。
証拠の解釈を誤り不当に事実を確定した違法があるとされた事例
民訴法394条
判旨
石炭採掘に伴う鉱害保証金の積立義務を定めた契約における「保証年限ハ炭鉱終了後三ヶ年トス」との条項は、責任の存続期間を限定する趣旨ではなく、当該期間内に発生した損害について責任を負う趣旨と解すべきである。
問題の所在(論点)
「保証年限は炭鉱終了後3ヶ年とする」との条項が、債務の履行期間や責任追及の存続期間を画定するものか、あるいは責任負担の対象となる損害の発生期間を定めたものか、契約解釈が問題となった。
規範
契約条項の解釈にあたっては、文言の形式的な意味にとらわれることなく、当該条項が置かれた他の条項との関連性や、合意された保証内容の性質、および取引上の合理的な意思(実験則)を考慮して確定すべきである。
重要事実
上告人(土地所有者)と被上告人(採掘者)は、石炭採掘に伴う土地使用に関し、被上告人が総額50万円の鉱害保証金を積み立てる旨の契約を締結した。契約書には「保証年限は炭鉱終了後3ヶ年とする」との条項があった。被上告人は昭和28年に採炭を終了したが、約定の積立義務を履行せず、多額の鉱害が発生した。上告人は積立を求めたが、原審は、炭鉱終了から3年が経過した昭和31年以降は、損害発生の有無にかかわらず保証金積立義務は消滅したとして請求を排斥した。
事件番号: 昭和44(行ツ)15 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 破棄自判
土地所有者が、鉱業法施行法七条一項の通知を受け、その後三〇日以内に追加鉱物を目的とする鉱業権の設定の出願をした場合であっても、右所有者が自作農創設特別措置法四一条による売渡によつて右土地の所有権を取得した者であり、その出願が鉱業法(昭和二五年法律第二八九号)施行後五年余も経過したのちにされたものである等、判示の事情(判…
あてはめ
本件における保証の性質は、将来発生する可能性のある鉱害を担保するものである。このような性質に照らせば、問題の条項は「炭鉱終了後の3年間に発生した鉱害について責任を負う」という対象期間を定めたものと解するのが合理的である。これを原審のように、責任の存続期間そのものを3年に限定し、期間経過により当然に積立義務が消滅すると解することは、損害の填補を目的とする保証の趣旨に反し、実験則(社会通念上の合理性)に照らして不当である。
結論
原判決の解釈は証拠の解釈を誤り不当に事実を確定した違法があるため、破棄し差戻すべきである。
実務上の射程
契約書の文言解釈において「期間」の定めがある場合、それが単なる履行期限(または責任存続期間)なのか、あるいは対象となる事故の発生期間を定めたものなのかを区別する。特に損害担保・保証の文脈では、権利消滅を容易に認めず、実質的な保護範囲を画定する解釈手法として有用である。
事件番号: 昭和24(オ)95 / 裁判年月日: 昭和24年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地上権の存続期間を「建物の腐朽まで」と定めた場合、その終期は不確定ではあるが、旧借地法附則17条1項但書の「存続期間の定めがある」場合に該当し、同条2項の「期間の定めのない場合」には当たらない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人との間の本件借地権(地上権)について、登記簿上の仮登記には建物所有を…
事件番号: 昭和28(オ)363 / 裁判年月日: 昭和31年4月6日 / 結論: 棄却
一 鉱業権の売買契約において、買主が排水探鉱の結果品質良好と認めたときは代金を支払い、品質不良と認めたときは代金を支払わない旨を約しても、右売買契約は、民法第一三四条にいわゆる条件が単に債務者の意思のみにかかる停止条件附法律行為とはいえない。 二 売買契約成立後貨幣価値が著しく変動しても、それだけで代金額が当然修正され…
事件番号: 平成13(受)1760 / 裁判年月日: 平成16年4月27日 / 結論: 棄却
1 炭鉱で粉じん作業に従事した労働者が粉じんの吸入によりじん肺にり患した場合において,炭鉱労働者のじん肺り患の深刻な実情及びじん肺に関する医学的知見の変遷を踏まえて,じん肺を炭じん等の鉱物性粉じんの吸入によって生じたものを広く含むものとして定義し,これを施策の対象とするじん肺法が成立したこと,そのころまでには,さく岩機…