判旨
地上権の存続期間を「建物の腐朽まで」と定めた場合、その終期は不確定ではあるが、旧借地法附則17条1項但書の「存続期間の定めがある」場合に該当し、同条2項の「期間の定めのない場合」には当たらない。
問題の所在(論点)
地上権の存続期間を「建物の腐朽まで」と定めた場合に、旧借地法附則17条1項但書にいう「存続期間の定めがある」場合に該当するか、あるいは同条2項の「存続期間の定めがない」場合に該当するか。
規範
借地権の存続期間を「建物が腐朽するまで」と定めた場合、それは客観的な事実によって終期が確定されるべき性質のものであり、不確定期間の定めとして有効である。したがって、このような定めがある場合は、法的に「存続期間の定めがある」ものと解すべきであり、期間の定めがないことを前提とする法定期間の規定(旧借地法附則17条2項等)は適用されない。
重要事実
上告人と被上告人との間の本件借地権(地上権)について、登記簿上の仮登記には建物所有を目的として「存続期間建物腐朽まで」との記載があった。原審はこの記載に基づき、本件借地権は昭和9年8月31日から30年間の命数(存続期間)があるものと認定した。これに対し上告人は、建物の腐朽までという定めは不確定であり、存続期間の定めがない場合に該当すると主張して上告した。
あてはめ
本件における地上権の存続期間の定めは、建物が腐朽した時点で消滅するという不確定な期間設定である。しかし、不確定であるからといって直ちに「期間の定めがない」ことにはならない。不確定期間であっても、一定の事実の発生(腐朽)をもって終期とする合意が存在する以上、それは期間の定めにほかならない。原審が証拠に基づき、本件建物の腐朽までの期間を昭和9年から30年間と具体的に算定し、存続期間の定めがあるものと判断したことは正当である。
結論
「建物の腐朽まで」という存続期間の定めは、旧借地法附則17条1項但書の「存続期間の定めがある」場合に該当し、期間の定めのない場合には当たらない。
実務上の射程
借地権の存続期間における「不確定期間」の有効性を認めた点に射程がある。答案上は、当事者間に期間に関する合意がある場合に、それが「不確定」であっても「定めがない(法定期間の適用)」とはならないことを論証する際に活用できる。また、借地権の価格算定において、将来の不確実な事情(賃料高騰の予測等)は、客観的に価格に影響を及ぼすことが明白な限度で考慮すれば足りるとする判断枠組みも実務上重要である。
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