土地所有者が、鉱業法施行法七条一項の通知を受け、その後三〇日以内に追加鉱物を目的とする鉱業権の設定の出願をした場合であっても、右所有者が自作農創設特別措置法四一条による売渡によつて右土地の所有権を取得した者であり、その出願が鉱業法(昭和二五年法律第二八九号)施行後五年余も経過したのちにされたものである等、判示の事情(判決理由参照)のあるときは、当該出願については、もはや、鉱業法施行法七条による優先権を認めることができない。
鉱業法施行法七条一項の通知後三〇日以内にされた土地所有者の追加鉱物を目的とする鉱業権の設定の出願につき、同条による優先権が認められないとされた事例
鉱業法施行法7条
判旨
鉱業法施行法7条に基づく土地所有者の優先権は、手続の促進と他者の地位の安定という趣旨から、法の予定する一定の限界があり、施行後5年余を経過した出願には認められない。
問題の所在(論点)
鉱業法施行法7条に基づく土地所有者の優先権に関し、施行から相当期間が経過した後になされた通知及びそれに基づく出願について、なお同条の優先権を認めることができるか。
規範
鉱業法施行法7条は、追加鉱物の掘採に鉱業権が必要となったことへの経過措置として土地所有者に優先権を与えるものであるが、同条1項の通知は遅滞なくなされることが予定されている。所有者の優先権は、手続の迅速な進行を図り、先行出願者の地位を長期にわたって不安定な状態に置かないという趣旨から、法の予定する一定の期間的限界に服する。
重要事実
上告人は昭和26年2月、本件国有林野につき鉱業権設定出願をしたが、行政庁間の了解により同法7条1項の通知は省略された。昭和27年3月、訴外組合が国から当該土地を買い受け所有権を取得した。その後、施行から約5年が経過した昭和31年3月に至り、行政庁は訴外組合に対し同条1項の通知を行い、組合はこれに基づき同月、鉱業権設定出願を行った。原審は、組合の優先権を認め、上告人に優先する許可処分は適法とした。
事件番号: 昭和29(オ)873 / 裁判年月日: 昭和37年4月12日 / 結論: 棄却
一 土地調整委員会が鉱業権設定許可の当否を判断するについて、鉱物の掘採によつて飲料用水源の枯渇するおそれが予見され、万一その害が実現すれば直接市民の生活に重大な影響を及ぼす事情にあるにかかわらず、右の害を防止し得ることを具体的に論証するとか一部区域を除外して許可する余地がないかどうかを検討する等十分な考慮をはらうことな…
あてはめ
同法7条の趣旨は、所有者の利益保護と同時に、通知後30日以内の出願に限り優先権を認めることで手続を促進し、他者の地位を安定させる点にある。本件では、施行から約5年が経過した後に初めて通知がなされ、それに基づき組合が出願している。このような著しい期間の経過は、法の予定する一定の限界を超えたものといえ、先行出願人である上告人の地位を不当に長く不安定な状態に置くものである。したがって、当該出願に優先権を認めることはできない。
結論
施行から5年余を経過した後の出願には優先権を認める余地はなく、組合の優先権を前提とした許可処分は違法である。原判決を破棄し、第一審判決を維持して当該許可処分を取り消す。
実務上の射程
行政上の経過措置における優先権行使の期間的限界を示した事例。条文上明確な期間制限がない通知手続であっても、法の趣旨(手続促進、第三者の地位の安定)から信義則や合理的期間による制約がかかることを論述する際の参考となる。
事件番号: 昭和31(オ)141 / 裁判年月日: 昭和35年9月15日 / 結論: 棄却
旧特別都市計画法に基く県知事の換地予定地指定処分のより違法に権利を害されたとするものの訴願を提起することは許されず、行政事件訴訟特例法第五条に従い、直接裁判所に出訴することのみが許される。
事件番号: 昭和25(オ)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しを求める訴えが、出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである場合、当該処分に無効原因があるとの主張が含まれていても、裁判所は処分の当否について実体的な判断を加える必要はない。 第1 事案の概要:上告人所有の農地に対し、農地委員会および県知事が農地買収計画および買収処分を行った…
事件番号: 昭和24(オ)14 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟における出訴期間の起算点に関し、処分の有効・無効は原則として影響せず、処分があったことを知った日から期間が進行する。また、たとえ処分自体に違法の疑いがあっても、法定の不服申立期間を経過した後の提訴は不適法である。 第1 事案の概要:上告人らは、自作農創設特別措置法に基づく被上告委…