判旨
売渡担保または譲渡担保に基づき目的物の所有権取得を主張する者は、その具体的な形態や効力に関して主張立証する責任を負い、単なる買受による所有権主張のみでは足りない。
問題の所在(論点)
譲渡担保(売渡担保)等の変則担保に基づき所有権を主張する場合、当事者はどのような内容を主張立証すべきか。単なる売買による所有権取得の主張で足りるか。
規範
売渡担保ないし譲渡担保には、その形態や効力について多様なものが存在する。そのため、これによって目的物件の所有権を取得したと主張する者は、その具体的形態および効力等に関して具体的に主張立証することを要する。
重要事実
上告人は、Dから本件不動産を買い受けて所有権を取得したと主張し、本件請求を行った。しかし、上告人は原審において「売渡担保権者としての所有権」を主張した形跡がなく、単にDから買い受けたという事実のみを主張していた。原審は、上告人がDから不動産を買い受けた事実は認められないとし、また被上告人が所有権を取得したと認定した。
あてはめ
上告人は、本件不動産をDから買い受けたという売買の事実のみを主張の基礎としていた。しかし、譲渡担保等は契約の態様によって権利の帰属や効力が異なるため、単なる売買による取得主張とは峻別される。上告人は、売渡担保権者としての所有権取得を基礎付ける具体的な契約の形態や効力について主張立証の責を尽くさなかったため、売買の事実が認められない以上、所有権の取得を認めることはできない。
結論
売渡担保等の具体的形態・効力について主張立証を尽くさない限り、それに基づく所有権取得の主張は認められない。
実務上の射程
事件番号: 昭和33(オ)44 / 裁判年月日: 昭和35年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金銭借入の担保として不動産につき買戻特約付売買契約を締結し、売買代金と借入金債務を相殺して既存債務を消滅させる形式の契約は、一種の担保形式として有効である。また、不動産の評価額と売買代金に開きがあっても、直ちに公序良俗に反して無効となるわけではない。 第1 事案の概要:上告会社は、被上告人から20…
民事訴訟における主張責任の所在を明確にする判例である。譲渡担保や売渡担保は形式上の所有権移転を伴うが、その実体は担保権であるため、通常の売買とは要件事実が異なる。答案上では、担保目的の権利移転を主張する際、その法的性質(強い意味の譲渡担保か、弱い意味の譲渡担保か等)を具体的に特定して主張すべき根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(オ)137 / 裁判年月日: 昭和26年4月24日 / 結論: 破棄差戻
家屋の賃貸人が若年の婦女の身で母を顧みなければならず、当該家屋に住んで何か商業を営む外生活を立てる道がないという解約申入事由は、借家人側にこれに打ち勝つべき格段の具体的利害関係がないかぎり、一応借家法第一条の二にいわゆる正当の事由となり得べきものである。
事件番号: 昭和29(オ)237 / 裁判年月日: 昭和31年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の処分禁止仮処分の執行がなされていても、そのことのみによって、仮処分債権者がその後の権利関係の変動において実体法上あるいは手続法上の優先的地位を取得するものではない。 第1 事案の概要:上告人は、対象不動産について処分禁止の仮処分を得ていたが、その後、当該不動産の権利関係に関し、自らが優先的…