判旨
不動産の処分禁止仮処分の執行がなされていても、そのことのみによって、仮処分債権者がその後の権利関係の変動において実体法上あるいは手続法上の優先的地位を取得するものではない。
問題の所在(論点)
不動産の処分禁止仮処分が執行されている場合、その債権者は、第三者との関係において当然に実体法上または手続法上の優先的地位を認められるか。
規範
処分禁止仮処分の執行がなされたからといって、債権者に当然に実体法上の優先的地位(対抗関係における優先順位や優先弁済権等)を認めることはできない。
重要事実
上告人は、対象不動産について処分禁止の仮処分を得ていたが、その後、当該不動産の権利関係に関し、自らが優先的地位にあることを主張して上告を申し立てた。なお、判決文からは具体的な原因事実や権利変動の詳細は不明である。
あてはめ
本件において、上告人は処分禁止仮処分が存在することを根拠に優先的地位を主張するが、仮処分はあくまで現状維持を目的とする保全処分にすぎない。債務者の処分行為を事実上制限する効果はあるものの、それによって債権者が直ちに実体法上の権利の帰属や対抗問題において決定的な優先権を得るものではない。したがって、仮処分の存在のみをもって上告人の主張に正当性を認めることはできない。
結論
処分禁止仮処分の存在のみをもって、債権者が優先的地位を認められることはない。
実務上の射程
保全処分の効力と実体法上の優先権を峻別する際の根拠として用いる。処分禁止仮処分に違反する処分行為の効力については、後に本案で勝訴した際に相対的無効を主張できるにすぎず、仮処分時点での優先的地位を一般的に肯定するものではないことを示す。
事件番号: 昭和38(オ)1407 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
請求権保全の仮登記でも、これに基づく本登記がなされたときは、仮登記以後におけるこれと相容れない中間処分の効力を否定する効果を有するものと解すべきであり、所有権移転請求権保全の仮登記以後における所論賃借権の設定も右にいう仮登記と相容れない中間処分たるを失わない(昭和三三年(オ)第八七一号同三六年六月二九日第一小法廷判決、…
事件番号: 昭和36(オ)1219 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
権利取得が仮処分登記前であつても、権利取得登記が仮処分登記後になされたときは、権利取得者は、右権利取得を以て仮処分債権者に対抗し得ない。
事件番号: 昭和33(オ)1017 / 裁判年月日: 昭和36年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審における訴訟代理人の権限は、特段の事情がない限り、同一の事件について上訴審における代理権をも含むものと解される。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)において被上告人を代理した弁護士に代理権がなかった旨を主張して上告した。しかし、記録上、当該弁護士に対しては第一審段階で訴訟代理委任状が…
事件番号: 昭和27(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に法令違反や事実認定の不当を主張するものに過ぎず、民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告事由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における憲法違反等を主張して上告を提起した。また、原審の口頭弁論に関与した裁判官の署名捺印の有無に…