判旨
最高裁判所の抗告却下決定に対する再審の申立てにおいて、原決定の判断に遺脱があるとの主張がなされたが、原決定の判断は相当であり判断遺脱には当たらないとして、申立てが却下された事例である。
問題の所在(論点)
最高裁判所の決定に対する再審の申立てにおいて、主張された事情が「判断の遺脱」に該当し、再審事由を構成するか。
規範
再審の事由(民事訴訟法338条1項9号等参照)としての「判断の遺脱」とは、判決に影響を及ぼすべき重要な事項について、裁判所が判断を示さなかった場合を指す。判断が示されている以上、その内容の当否は判断遺脱の問題ではない。
重要事実
申立人は、最高裁判所が昭和32年6月11日に行った抗告却下の決定(昭和32年(ク)第78号競落許可決定の抗告棄却決定に対する抗告事件)に対し、判断遺脱があるとして再審を申し立てた。申立人は、原決定の判示が不当であり、考慮すべき事項が検討されていない旨を主張した。
あてはめ
本件において、最高裁判所は原決定の判示内容を検討した。その結果、原決定における判示事項は相当であると認められた。申立人が主張する点についても、原決定において必要な判断はなされており、判断を看過した事実は認められない。したがって、申立人が主張する不服は単なる判断内容への異議にとどまり、法的な意味での判断遺脱には当たらないと解される。
結論
本件再審の申立てには理由がないため、これを却下する。
実務上の射程
最高裁の決定に対する再審事由の存否に関する極めて簡潔な判例である。答案上は、判断遺脱の意義を確認する際や、確定した裁判の合憲性・妥当性を争う再審の手続的厳格性を示す文脈で引用し得るが、本判決自体に詳細な法理展開はないため、実務上の参照価値は限定的である。
事件番号: 昭和28(ク)262 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特別に認めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における…
事件番号: 昭和32(ク)192 / 裁判年月日: 昭和32年10月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に定められた特別抗告の場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告人は憲法違反を名目に掲げているが、その実質的な内容は原決定の手続違反を主張する…
事件番号: 昭和34(ク)27 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項に相当)に規定される憲法違反等の事由がない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の裁判について違憲を主張するとともに、その他の法令…
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【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判所において裁判を受ける権利を保障するが、裁判所の組織や審級等は立法政策の問題である。したがって、最高裁判所への抗告が認められるのは、法律により特に許容された場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が原決定(詳細は判決文からは不明)を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案…
事件番号: 昭和34(ク)151 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、具体的な裁判所の権限や審級等の制度設計は立法府の裁量に委ねられており、最高裁判所への抗告が法律で制限されていても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対する抗告を制限する法運用は、裁判所法7条2号を空文化させ、憲法32条(裁判を受ける…