判旨
代表権のない者が法人を代表して提起した訴えは不適法であり、代表権限の欠缺を理由に却下されるべきである。また、その場合の訴訟費用は当該無権代理人が負担すべきである。
問題の所在(論点)
代表権を喪失した者が法人を代表して提起した抗告の適法性、およびその場合の訴訟費用の負担帰属が問題となる。
規範
法人の訴訟において、代表権を有しない者が法人を代表してなした訴訟行為は、代表権の欠缺により不適法となる。また、代表権のない者が勝手に訴えを提起した場合には、訴訟行為の有効要件を欠くことから、その行為に起因する訴訟費用は当該行為者が負担すべきものと解される。
重要事実
Dは抗告人の仮理事長であるとして、抗告人を代表して本件抗告を提起した。しかし、Dを仮理事長に選任した当初の決定は、その後の裁判所による決定(昭和31年10月26日付)によって取り消されていた。さらに、当該取消決定に対する抗告も棄却され、Dの選任取消しは確定していた。
あてはめ
Dは、本件抗告の提起時点において、既に仮理事選任決定が取り消され、その取消しが確定している。したがって、Dは抗告人を代表すべき権限を失った者といえる。かかる無権代理人によってなされた抗告は、代表権の存在という訴訟要件を欠く不適法なものであると判断される。さらに、法人自体に責任を帰せられない訴訟行為によって生じた費用については、その原因を作出したD個人に負担させるのが相当である。
結論
本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は無権代理人であるDの負担とする。
実務上の射程
代表権の欠缺という基本的な訴訟要件に関する判断を示す。答案上では、民事訴訟法における代表権の調査(職権調査事項)や、無権代理人が訴えを提起した場合の費用負担原則(行為者負担)を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(ク)105 / 裁判年月日: 昭和32年5月30日 / 結論: 却下
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事件番号: 昭和24(ク)53 / 裁判年月日: 昭和24年9月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いてはすることができず、憲法判断の不当を理由とする場合等に限られる。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの裁判(詳細は判決文からは不明)に対して最高裁判所への抗告を申し立てた。しかし、その抗告申立書の内容からは、原決…
事件番号: 昭和32(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和32年4月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】確定した決定に対する再審の申立ては、民事訴訟法(旧法)所定の再審事由を主張するものでない限り、適法な申立てとは認められず却下される。 第1 事案の概要:申立人は、仮処分申請却下決定に対する抗告却下決定(東京高裁昭和31年4月4日決定)及びこれに対する抗告却下決定(最高裁昭和31年6月29日決定)に…
事件番号: 昭和32(ク)215 / 裁判年月日: 昭和32年10月23日 / 結論: 棄却
後見監督人選任申立却下の審判に対し不服申立の途を認めない家事審判法第一四条および家事審判規則の規定は、憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和31(ク)28 / 裁判年月日: 昭和31年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告において、憲法違反を理由としない不適法な申立てに対し、原裁判所が却下決定を行うことは憲法32条に違反せず、民事訴訟法の規定に照らし適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が昭和30年7月5日に行った決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、当該抗告の理由は憲…