判旨
最高裁判所に対する抗告において、憲法違反を理由としない不適法な申立てに対し、原裁判所が却下決定を行うことは憲法32条に違反せず、民事訴訟法の規定に照らし適法である。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する違憲を理由としない不適法な抗告について、原裁判所が却下決定を行うことが憲法32条(裁判を受ける権利)に違反しないか、また民事訴訟法上許されるか。
規範
下級裁判所の決定に対し最高裁判所への抗告を認めるか否かは、憲法81条の場合を除き立法の裁量に委ねられている。したがって、不適法な抗告について原裁判所に却下権限を認める規定(民訴法414条、399条準用)を設けることも、裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害するものではなく適法である。
重要事実
抗告人は、原裁判所が昭和30年7月5日に行った決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、当該抗告の理由は憲法違反を主張するものではなかった。これに対し、原裁判所は民事訴訟法の規定に基づき、当該抗告を不適法として却下する決定を行ったため、抗告人がこれを不服としてさらに抗告した事案である。
あてはめ
憲法は審級制度の具体的内容を立法の合理的な裁量に委ねている。本件において、抗告人は原裁判所の決定に対し抗告を申し立てているが、その内容は憲法違反を主張するものではない。民事訴訟法414条および399条の規定によれば、最高裁判所に対する不適法な抗告に対し原裁判所が却下決定を行うことが認められており、これは立法府の合理的な判断の範囲内であるといえる。
結論
最高裁判所に対する違憲を理由としない不適法な抗告につき、原裁判所が却下決定をなすことは適法であり、憲法32条に違反しない。
実務上の射程
事件番号: 昭和39(ク)118 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
第一審及び原審は、要するに、抗告人らの本件(仮処分執行停止命令)申立は申立の利益がないとして、却下あるいは棄却の裁判をしたものであって、裁判そのものを拒否したものではなく、憲法第三二条に違反したものとはいえないこと、当裁判所の判例(昭和二七年(オ)一一五〇号同二八年一二月二三日大法廷判決・民集七巻一三号一五六一頁)の趣…
民事訴訟における上訴(抗告)の適法性審査権限に関する判例。特別抗告(民訴法336条)等の場面において、形式的要件を欠く申立てを原裁判所が排除できる運用の合憲的根拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(ク)321 / 裁判年月日: 昭和34年10月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の権限や審級の定めは原則として立法政策に委ねられており、最高裁判所への抗告権を訴訟法上特定の事由に限定する裁判所法7条2号等は、憲法32条、76条1項、77条1項に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人らは、最高裁判所の裁判権に関する規定である裁判所法7条2号が憲法76条1項および77条1項…
事件番号: 昭和31(ク)314 / 裁判年月日: 昭和31年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は、最高裁判所が終審裁判所であることを定める81条の場合を除き、審級制度の詳細については立法府の裁量に委ねている。したがって、特定の裁判手続において不服申立てを認めない法律の規定があったとしても、直ちに違憲とはならない。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所が行った本件執行処分取消申請を却下…
事件番号: 昭和34(ク)151 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、具体的な裁判所の権限や審級等の制度設計は立法府の裁量に委ねられており、最高裁判所への抗告が法律で制限されていても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対する抗告を制限する法運用は、裁判所法7条2号を空文化させ、憲法32条(裁判を受ける…
事件番号: 昭和32(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和32年4月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】確定した決定に対する再審の申立ては、民事訴訟法(旧法)所定の再審事由を主張するものでない限り、適法な申立てとは認められず却下される。 第1 事案の概要:申立人は、仮処分申請却下決定に対する抗告却下決定(東京高裁昭和31年4月4日決定)及びこれに対する抗告却下決定(最高裁昭和31年6月29日決定)に…