後見監督人選任申立却下の審判に対し不服申立の途を認めない家事審判法第一四条および家事審判規則の規定は、憲法第三二条に違反しない。
家事審判法第一四条および家事審判規則の合憲性
家事審判法14条,憲法32条
判旨
憲法は81条以外に審級制度に関する規定を置いていないため、審級制度の設計は立法の裁量に委ねられている。したがって、後見監督人選任申立却下の審判に対し不服申立てを認めない規定も憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
家事審判法(当時)および家事審判規則が、後見監督人選任申立却下の審判に対する不服申立てを認めないことは、憲法32条が保障する裁判を受ける権利に違反し、憲法違反となるか。審級制度の設計に関する立法裁量の範囲が問題となる。
規範
憲法は、最高裁判所が終審裁判所であることを定める81条を除き、審級制度をいかに構成すべきかについて直接の規定を設けていない。したがって、審級制度の具体的な設計は、立法政策として法律により適宜に定めるべき事項である。
重要事実
抗告人は、家庭裁判所による後見監督人選任申立てを却下する審判を受けた。これに対し、当時の家事審判法14条および家事審判規則が、当該却下審判に対する不服申立ての途を認めていないことは、裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和54(ク)430 / 裁判年月日: 昭和55年2月7日 / 結論: 棄却
特別家事審判規則二一条の審判に対し即時抗告による不服申立の方法を認めるかどうかは、立法政策の問題に帰着し、家事審覇法一四条及び右規則が憲法三二条に違反するかどうかの問題を生じない。
あてはめ
憲法上、裁判の審級構成について明文の規定があるのは、最高裁判所を終審裁判所と定める憲法81条のみである。それ以外の審級制度の在り方については、立法の合理的な裁量に委ねられていると解すべきである。本件において、不服申立てを認めない家事審判法等の規定は、立法府がその裁量に基づいて定めた適宜の制度設計であるといえる。したがって、特定の審判について上訴を認めないからといって、直ちに裁判を受ける権利を侵害するものとは認められない。
結論
家事審判法等の規定は憲法32条に違反しない。したがって、本件特別抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
審級制度の設計が立法裁量に属するという憲法上の基本原則を示す。憲法32条が当然に「複数の審級」を要求するものではないことを論証する際に引用すべき判例である。行政不服審査や非訟事件の手続制限の合憲性を論じる際にも援用可能である。
事件番号: 昭和34(ク)321 / 裁判年月日: 昭和34年10月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所の権限や審級の定めは原則として立法政策に委ねられており、最高裁判所への抗告権を訴訟法上特定の事由に限定する裁判所法7条2号等は、憲法32条、76条1項、77条1項に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人らは、最高裁判所の裁判権に関する規定である裁判所法7条2号が憲法76条1項および77条1項…
事件番号: 昭和33(ク)118 / 裁判年月日: 昭和33年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】審級制度の構成は憲法81条が定める違憲審査権の行使を除き、立法府の広範な裁量に委ねられている。したがって、特別抗告の受理に際して原裁判所が憲法違反の主張の有無のみを判断する仕組みも、裁判を受ける権利を定めた憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が民事訴訟法(旧法)に基づき、…
事件番号: 昭和31(ク)28 / 裁判年月日: 昭和31年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告において、憲法違反を理由としない不適法な申立てに対し、原裁判所が却下決定を行うことは憲法32条に違反せず、民事訴訟法の規定に照らし適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が昭和30年7月5日に行った決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、当該抗告の理由は憲…
事件番号: 昭和47(ク)311 / 裁判年月日: 昭和47年11月9日 / 結論: 棄却
民訴法五四九条四項、五四七条二項による裁判について不服申立をなしえない旨の判断をしても、憲法三二条に違反しない。